∧∧∧山にまつわる怖い話Part9∧∧∧
『添い寝』
135 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/05/19 01:13 ID:6M1OIF2A
友人の話。
植生の研究のため、夏山に一人で入っていた時のこと。
ある夜、彼は不意に目が覚めた。
いつの間にか、テントの中に生臭い匂いが充満していたのだ。
驚いて身を起こそうとすると、耳元で誰かに囁かれた。
「・・・添い寝・・・」
知らない女性の声だった。
いきなり背後から手が回され、彼はしっかりと抱きしめられた。
背中に柔らかい身体が押し付けられる。
寝袋にくるまったままで。
生まれて初めて失神したのだという。
翌日以降、びくびくしながら夜を過ごしたが、二度目は現れなかったそうだ。
『ツェルト』
136 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/05/19 01:14 ID:6M1OIF2A
先輩の話。
単独の登山が好きな彼は、大学生の頃ツェルト(簡易テント)を購入した。
中古だったが新品も同様で、それでいて安かったのだという。
良い買い物をしたと喜び、早速一人で近場の山に出かけたそうだ。
簡単ながらもそれなりに美味しい夕食を済ませ、先輩は焚き火の傍らで本を読んでいた。
そろそろ休もうかと考えた時、ツェルトに何か影らしきものが見えるのに気づく。
中に何か入ったか?と目を凝らした。
ツェルトの中に、誰かが座っていた。
正座している手と足が、入口側の隙間から見えていたという。
息を一つ飲み込み、思い切って入口を開け放つ。
ツェルトの中には誰もいなかった。
その夜はもう眠れず、次の朝が来るや否や山を下りたという。
問題のツェルトは処分するのも恐ろしく、かと言ってお寺でも引き取ってはくれなかったので、
こっそりフリーマーケットで売ってしまったそうだ。
『見つける』
137 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/05/19 01:16 ID:6M1OIF2A
知り合いの話。
仲間と一緒に、ある有名な樹海へ出かけた時のこと。
彼は皆とはぐれてしまい、一人緑の中をさまよっていた。
少し開けた場所を見つけた彼は、少し休もうとそこに踏み込んだ。
腰を下ろそうとしたその時、気がついた。
広場の隅に、ひどく傷んだ首吊り死体がぶら下がっていた。
慌てて森へ引き返し、正しい道を求めて足を速める。
やがて開けた場所に出た。
さっきと全く同じ場所だった。死体もそのままぶら下がっていた。
それからかなりの時間、樹海の中を歩き回ったが、いずれも同じ場所に出てしまったらしい。
精も根も尽き果てて座り込んだ耳に、彼を探す仲間の声が聞こえた。
無事に合流できた時、彼は不覚にも泣いてしまったそうだ。
樹海に詳しい人から「それは誘われていたんだ。助かって良かったな」と言われたのだという。
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