∧∧∧山にまつわる怖い話Part8∧∧∧
『しゃがんでいた少女』
637 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/04/19 02:50 ID:sqKN2rWN
友人の話。
週末に軽く山歩きを楽しんでいた時のこと。
山道の傍らに、一人の少女が背を向けてしゃがんでいた。
草むらに手を突っ込んで、何かを探しているらしい。
何してるんだい? お父さんかお母さんはどこ?
気になって声をかけたが、少女は彼をじろりと見やり、すぐ目を下に戻した。
小さな石コロを拾い上げて、ひょいと口の中に放り入れる。
唖然とする彼の前で、ぼりぼりと音を立てて、その子は石を噛み砕いた。
二、三回ほど噛むとごくりと呑み込んでしまった。
引き続き石を拾い始めた少女を見て、彼はひどく動揺したという。
「それじゃあ」と別れを告げ、できるだけ足早にその場から逃げ出した。
少女が石を噛み砕く音は、しばらく彼の耳に届いていたのだそうだ。
『ライン引き』
638 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/04/19 02:51 ID:sqKN2rWN
知り合いの話。
彼は山奥の小さな小学校に通っていた。
卒業する直前、級友たちと夜の校舎で肝試しを実行したのだという。
木造の古い階段を登り、二階の彼らの教室へ行って帰るということにした。
階段を登りきったところで、階下からカタカタという音が聞こえる。
思わず顔を見合わせていると、やがて階段の下に見慣れた物が姿を現した。
チョークの粉を入れて、校庭に白線を引く道具だった。
誰も押す人は見当たらず、まるで一人でに動いているように見えた。
次の瞬間、いきなり白い粉を吹き上げ、そいつは猛然と階段を駆け上り始めた。
彼らは恐怖の叫びを上げ、てんでばらばらに校舎内を逃げ回った。
気がつくと皆、無事に校舎の外に脱出していた。
その後すぐに家に帰ったのだという。
翌日、学校中の廊下という廊下には、乱れた白線が引かれていた。
前夜彼らを追い掛け回した道具は、一階のトイレ隅で力尽きていたそうだ。
『バニープ』
639 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/04/19 02:53 ID:sqKN2rWN
友人の話。
彼は学生の頃、オーストラリアへ留学していたという。
現地ではバイトで、日本人観光客相手のガイドの手助けをしていたそうだ。
そんなある日、乗っていた車が故障し、丘陵地帯で立ち往生してしまった。
ガイドと一緒に調子の悪いエンジンと格闘していると、
「ブーッ、ブーッ!」という奇妙な声が、藪の中から聞こえてきた。
何かの唸り声のようだ。やがて藪を分けて声の主が姿を現した。
黒い体毛を持った大きな動物が、繁みから頭だけを覗かせていた。
山羊に似ていたが、不気味なことに目は一つしかついていなかった。
そいつは妙に人間くさく口を歪めてニヤリと笑い、姿を消したのだそうだ。
我に返ったガイドと彼は大急ぎで修理を始める。
何とか応急処置を済ませ車を出した後、ガイドは低い声で教えてくれた。
あれは恐らく、バニープと呼ばれる化け物だ。
人を取って喰らうと言われている。俺たちは運が良かった。
彼はその後、奥地へ踏み込むツアーには参加しないことにしたのだという。
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