∧∧∧山にまつわる怖い話Part8∧∧∧
『不審な音』
497 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/04/13 02:36 ID:Yes8pPaL
知り合いの話。
ダム建設工事で山奥に泊まりこんでいる時のこと。
ある夜、外の仮設トイレに行く途中で、不審な音が聞こえたのだという。
ビンッと何かが思い切り引っ張られるような音がして、その直後にギシギシという揺れるような音に変わった。
音は彼のすぐ側で起こったようで、小さいがはっきりと耳に聞こえた。
飯場に戻って、年配の同僚達に話してみた。
「誰かが首を吊った時の音だな」事もなげに答えられたという。
動揺する彼を見て、一人がこう聞いてきた。
「音はどこから聞こえた?」
周囲の木がほとんど伐採されていることを思い出し、彼は絶句した。
「このあたりは自殺名所だったらしい。近寄らん方がいいぞ」
「引っ張られるっていうからな」
彼は素直に助言に従うことにした。
不審音は、それからも度々聞こえたそうだ。
ダムが完成した現在、その音がいまだ聞こえているかどうかは不明である。
『マンホールの蓋』
498 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/04/13 02:40 ID:Yes8pPaL
同僚の話。
ある山中の集落が生活排水処理設備を設置することになり、彼が担当になった。
メインの排水本管が埋められてしばらく後、集落から緊急の連絡が入った。
マンホールが何箇所か失くなっている。
危ないから至急代替品を手配してほしい。
現地に赴き確認すると、確かに五ヶ所で点検口の鉄蓋が盗まれていた。
たちまち鉄板を架けて対処し、新品を手配し直した。
出てこないとは思ったが、一応地元の警察にも届け出た。
「困ったヤツはどこにでもいるな」そう考えて終わったのだそうだ
半年経って工事が終わる頃、マンホールが発見されたとの報告を受けた。
奇妙なことに、発見された鉄蓋すべてに不思議な痕跡が残されていたという。
牛のものに酷似した大きな歯型が、何箇所も鉄を齧りちぎっていた。
以降現在に至るまで、マンホールの蓋は失くなっていないということだ。
『深夜の校庭をランニング』
499 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/04/13 02:42 ID:Yes8pPaL
知り合いの話。
彼は山奥の小さな小学校に通っていた。
その校庭にある二宮尊徳の像に、ある噂が囁かれていた。
深夜を過ぎると、台座から降りて校庭をランニングするのだと。
そんな馬鹿な話があるかと、彼は悪友と一緒に確認に出かけたそうだ。
学校に着くと、確かに誰かが夜の校庭を走っていた。
近づいてみると、走っていたのは銅像ではなく初老の男性だった。
「こんばんは」
挨拶してきたのは、見慣れたジャージ姿の校長先生だった。
ただし、その先生は一年前に癌で亡くなっていた。
ひどく驚き、かつ恐くもあったが、逃げ出すのも失礼な気がした彼らは、
「こんばんは。お休みなさい」
と律儀に声をかけてから、家に帰ったのだそうだ。
つい先日、里帰りした彼は、親戚の子から学校の怪談を聞かされた。
考える人の銅像が、深夜の校庭をランニングするという内容だったらしい。
「ひょっとして校長先生、まだ走っているのかな」
聞いてから、懐かしく思い出したのだという。
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