∧∧∧山にまつわる怖い話Part7∧∧∧
『里山でキャンプ』
874 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/03/23 00:58
先輩の話。
里山でキャンプしていた時のこと。
夜テントの中で寝ていると、どこからか微かな声が聞こえてきたという。
その声が何を言っているのか分かった途端、眠気は冷めた。
お経だった。
声が聞こえなくなっても、その夜はもう一睡もできなかったそうだ。
明朝、テントの撤収をする時になって気がついた。
テントのすぐ横の地面に石が敷き詰めてあり、そこには人が横になれるくらいの溝穴が掘ってあった。
明らかに火葬場の跡だった。
テントを張る時は、周りをよくよく確認しなくちゃいけない。
先輩はしみじみとそう教えてくれた。
『スキー場の進入禁止地帯』
876 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/03/23 01:00
後輩の話。
大学の卒業旅行で、北海道の山にスキーへ行ったのだそうだ。
地元とは桁の違うスキー場の広さに感動したらしい。
ゲレンデとゲレンデを結ぶ長いリフトに揺られていると、遥か下の谷に目がいった。
進入禁止の地帯にスキー跡が残っている。まだ新しい跡のようだ。
しばらく雪上の跡を追っていくと、やがてぼっこりとした窪みにつながった。
すぐ横には折れたスキー板が突き立てられていた。
「さては転倒したな」
面白がって見ているうちに、おかしなことに気がついた。
転倒までの痕跡は克明に残っているのに、そこから出て行った跡がどこにも無い。
窪みへのスキー跡を除けば、あたりはまだ踏み荒らされていない新雪のままだった。
このスキーヤーは他の場所へ、一体どうやって脱出したのか。
気になって次の日も同じリフトを渡ったそうだが、折れたスキー板は既に見当たらず、
場所を特定することすらできなかったという。
『送り犬』
877 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/03/23 01:01
知り合いの話。
彼がまだ幼い頃、お祖父さんと二人で夏祭りに出かけた時のこと。
祭りは山一つ向こうの神社でおこなわれており、帰りは山を突っ切って近道をした。
夜の暗い山道を歩いている間、彼は後ろが気になって仕方がなかった。
何かが二人の後をついてくるような気配がしたのだ。
やがて山道が終わる頃、お祖父さんは足を止めて振り返った。
手提げ袋からタコ焼きを一ケース取り出し、地面の上に並べて置く。
お陰さまで今日も無事帰り着くことができました。ありがとう。
そう言ってお祖父さんは一礼し、彼を促すと里道を歩き出した。
お祖父さんが言うには、その山には昔から送り犬が出るのだそうだ。
暗い夜道を歩いている人の後ろからついて来て、
事故に合わないよう、他の獣に襲われないように、守ってくれるのだという。
里の者は送り犬に感謝して、山道の終わりで何か食べ物を差し出す慣わしなのだと。
しかし、彼はその時、タコ焼きに口をつける送り犬の姿を盗み見てしまったらしい。
実のところ犬じゃなかったと思います。二本足で歩いていましたから。
人でもなかった。身体には手が見えませんでした。
彼が見た灰色の影は、一体何だったのだろう。
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