∧∧∧山にまつわる怖い話Part7∧∧∧
『山中にある池』
629 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/03/10 20:27
友人の話。
彼はよく学校近くの山中にある、ため池に泳ぎに行っていたそうだ。
仲間たちと泳ぎに行ったある夏の日のこと。
一泳ぎして甲羅干ししていると、誰からともなく石を投げて水切りを始めた。
ちょうど池の中ほどに一抱えほどもある流木が浮かんでいたので、標的にして腕を競った。
何度かのチャレンジで、彼の投げた石が水面を跳ねながら流木に見事当たった。
その途端、流木はぬるりと身をよじり、水の中に姿を消した。
水中に没する直前、流木から生えた細長い手足が見えたという。
その手はまるで枯れ木のように細長かく、人間のものによく似ていたそうだ。
その日以来、彼らはため池では泳いでいない。
『石組みの古井戸』
630 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/03/10 20:30
先輩の話。
中学の山岳部に所属したばかりの頃だ。
水汲みを命じられ、教えられた水場に行くと、そこには石組みの古井戸があった。
今ではあまり見られない、手押しの人力ポンプがついていた。
先輩はそんな代物を見るのが初めてで、少しわくわくしながら手をかけたそうだ。
レバーを上げ下げして水を出してみると、コッヘルの中には真っ黒な水が溜まった。
錆びでも出たのかなと目を近づけ、間違いに気がついた。
澄んだ水の中に、大量の長髪が漂っていた。
慌てて他の人を呼びに行った。
再び水場に帰ってきた時には、どこにも黒髪は見当たらず、きれいな水が入ったコッヘルだけが残されていたそうだ。
『普段は通らない林道』
631 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/03/10 20:31
知り合いの話。
ある秋の夜、仕事で山中にある施設に向かっていた途中のことだ。
近道をしようとして、普段は通らない林道に入った。
林が深くなるあたりで、ヘッドライトの中に人影が見えたのだという。
赤子の泣き声が小さく聞こえた。
どうやら赤ん坊を抱えた女性のようだ。
一瞬、通り過ぎようかとも考えたが、やはり見過ごせずに車を止めた。
ドアを開けると、聞こえていた赤ん坊の泣き声がふいに途切れた。
「こんな所でどうしました?」
こちらを睨みつけるような表情の女性に声をかけて近づいたその時、
彼女が抱いているのが、赤ん坊でないことに気がついた。
黒く萎びた、まるで干物のような何かだった。
立ちすくむ彼の前で、女は口を開いた。
そこから発せられたのは大人の声でなく、耳障りな赤子の泣き声だった。
必死で車まで後ずさり、そのままバックして全速力で逃げ出したという。
女性は追ってこず、ライトの中に小さくなりながら闇の中に見えなくなった。
しばらくの間、彼は担当を同僚に交代してもらったのだそうだ。
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