幽霊マンションシリーズ。
『マンションの非常階段』の続き
∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part32∧∧
958 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/04/01(日) 15:27:26 ID:RA8h3cyU0
お久しぶりの雷鳥デス。
なんとか現場常駐状態から帰って参りました。
疲れました・・・最後にUPした日から、体重が5キロ減ってて、唖然。
三ヶ月ぶりのカキコです。
間が空いてしまって申し訳ないデス。はい。
前の内容なんて覚えていないって人、どうかスルーしてやって下さいまし。
これ完結させないと、どーも他の山怖話も書きづらくて(涙)。
それでは、とある山裾の幽霊マンション話。続きです。
959 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/04/01(日) 15:28:24 ID:RA8h3cyU0
エレベーターホールで正体不明の悲鳴を聞いてしまった友人は、予てから考えていたことを実行に移すことにした。
近所の住人に、このマンションで何かおかしいことはないか尋ねてみるのだ。
あれだけ大きな悲鳴を誰も聞いていないということがあるだろうか?
もし聞いていたならば、確認に出て来ない理由があるのではないか・・・
そう考えたのだという。
驚くべきことにあの夜、件の悲鳴を聞いた人は誰もいなかったことがわかった。
やっぱりアレ、まともな声じゃなかったの~!?
尚も聞き続けるうちに、ようやく他にも体験者が見つかった。
「あんたが聞いたのと同じ叫びかどうか、わかんないけどさ。
あたしが聞いたのは別の日だし。でも迷惑だよねぇアレ」
顔を顰めてその主婦は言った。迷惑?
「大迷惑。夜中にあの叫び声を聞くとさ、大抵次の日にゃ、冷蔵庫の中の物が駄目になってるんだよ。
賞味期限より大分前なのに、腐っちゃってるか、それに近い状態。
うちに取っちゃ祟りみたいなもんさ。
どこにも文句言ってく場所がないから、もう諦めちゃったけど。
しかし、他にも聞こえる人がいたんだ・・・あんたもついてないねぇ」
はは、と愛想笑いした友人に、主婦は思い出したように付け加えた。
「あ、そう言えばいたいた。他にも夜中に悲鳴聞いてた人。
でもそこは物が腐ったりしなかったみたいだけど」
え、誰ですか?
「もういないよ。飛び降りちゃった、ちょっと前に。
そう、あんたのすぐ上に住んでた人」
・・・聞くんじゃなかったぁ~・・・
友人はそこで聞き込みを中断し、可能な限り、夜間はエレベーターホ-ルに近よらないことにしたのだという。
960 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/04/01(日) 15:30:20 ID:RA8h3cyU0
この話を帰宅した姉にしてみると、意外な顔をした。
「あぁ」と何かに得心がいったような表情をしたのだ。
「いやね、ここに越してきてから、調理酒の減りが凄く早くなってたのよ~。
買い出しは主に私の担当だったから、アンタは気がついてなかったんだ。
ううん、使う量が増えたんじゃないの。
封を切ったお酒が、あっという間に酸っぱくなって使えなくなるの。
傷むのにかかる時間がバラバラなんで、どうしてなんだろうと思ってたところ。
そんな変なのがいるんだね~」
うんうん頷く姉は、別に怖がる様子も見せず、
「ホントホント、確かに大迷惑だよ~」
と、あの話をしてくれた主婦によく似た口調で、怒ったように繰り返していた。
961 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/04/01(日) 15:31:59 ID:RA8h3cyU0
それからしばらくして。
友人が休日に朝寝を決めていると、バタバタと騒がしい音に邪魔をされた。
何々、何事~? 目を擦りながら仕方なく起き出す。
お早うと挨拶してきた姉に、何の騒ぎか問うてみた。
「上の階で、引っ越しがあるみたいだよ~。
それも四件が一遍に、今日の朝一から取りかかってる。
引っ越し業者も四社来てるから、上の階はホールから廊下から、そりゃもう大騒ぎ!
一階の出口も戦争状態らしいよ~」
ほうほう、そりゃまた。こういうのって、重なる時には重なるモンなのね。
そう言えば、一昨日も昨日も、上の階って引っ越しがあったなぁ。
・・・ってどう考えても重なりすぎでしょ!?
「だよね。今朝ゴミ出しのついでに井戸端会議に参加してみたけど、他の階の住人も疑問に思ってるんだって。
でも引っ越す人たちって、もうマンションから荷物より先に出ちゃってるみたいだし、
結局のところ誰にも理由がわかんないらしいよ~。
・・・ただね」
・・・ただ、何なの?
「このすぐ上の部屋を挟んだ、二つの部屋の住人が口を揃えてこう言ってたんだって。
毎晩毎晩、窓を開けてたら見えるんだって。
そうその通りだよ。あの部屋から飛び降りる黒い影なんだってさ」
引っ越すのが皆、そういう理由かどうかは知らないけどね。
姉はそう言って朝食に戻った。
結局、彼女ら姉妹がこのマンションを出る日まで、上の階はガラガラのままだった。
962 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/04/01(日) 15:37:43 ID:RA8h3cyU0
という訳で、仕事の合間を盗んでUPなのデス。
エイプリルフールに重なったのは偶然ですよ~(苦笑)。
まぁぶっちゃけ、工期の関係なのですが。
何というか眠いです。体調がまだ戻っていないような気がビンビンします。
このマンションとあながち無関係じゃないかもしれないのが、頭の痛いところです。
ではまた、時間がとれれば今晩にでも。
三ヶ月ぶりの雷鳥でした。
『変わった部屋』に続く
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