∧∧∧山にまつわる怖い話Part7∧∧∧
『夜中の峠』
515 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/03/07 00:22
友人の話。
夜中に車で帰宅していた時のこと。
起伏の激しい峠に差しかかった所で、いきなりハンドルが取られて車が横に流れた。
まるで地面自体がずるずると滑り始めたような感触を受けたという。
幸いスピードは出していなかったので、無事に路肩に止まることができた。
振り向いた彼の目に映った路面は、まるで墨を流したかのように真っ黒だった。
油でもこぼれているのか? 確認しようと外に出ると、いきなり黒い路面が波打った。
そのまま道向こうの繁みの下へ吸い込まれていく。
まるで黒い絨毯が巻き取られていくように見えたという。
黒色がすべて繁みに消えると、すぐにガサガサという音がして遠ざかっていった。
我に返った彼は、車に飛び乗り逃げ帰ったそうだ。
『奇妙な獣道』
516 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/03/07 00:23
友人の話。
彼は祖父に可愛がってもらっており、よく一緒に山に茸などを採りに行く。
残念ながら、松茸の取れる場所だけは、いまだに教えてもらっていない。
山道を歩いていると、奇妙な獣道に時々出くわすのだという。
小動物が歩くのがやっとの幅なのに、白い玉砂利で美しく覆われているらしい。
しかも見つけるたびに、道はその場所を変えているのだそうだ。
不思議に思い祖父に尋ねると、次のような答えが返ってきた。
これはわしらのための道じゃないから、知らなくていいことだ。
こっちから首を突っ込まなければ、向こうも関わろうとはしないからな。
向こうというのが何物なのかは、実のところ祖父もよく分からないという。
彼は今でもたまにその道を見かけるそうだ。
『遊んではいけない沼』
517 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/03/07 00:25
知り合いの話。
彼が小さい頃、村外れの山に小さな沼があった。
普段からそこで遊んではいけないと、しつこく注意されていたという。
ある時、その沼で子どもが溺れたことがあった。
幸い通りがかった大人に助けられたのだが、助けられた子は奇妙なことを口にした。
沼の近くを歩いていると、誰かに名前を呼ばれた。
見てみると、沼の上に綺麗な女性がいて、自分を手招きをしていた。
気がついたら溺れていて、おじさんに助けてもらったのだと。
助けた男性が、これまた不気味なことを言う。
溺れている子を抱きかかえた時、濁った水中で彼の足をつかんでいる者がいた。
必死でその手を引き剥がし、岸に向かったのだと。
前々からその沼では子どもの水難事故が多発しており、これはもう埋めてしまおうということに決まったのだという。
いざ埋め立てる当日になって、集まった男衆は皆驚いた。
沼が一晩のうちに枯れてなくなっていたのだ。
濁った黒い水が、底の方にわずかばかり残されていた。
沼のあった場所は、現在は土が入れられて草むらとなっている。
ひょっとしたら、あの沼は今でもどこかの山の中で、誰か通りがかるのを待っているのかもしれない。
村ではそう言われているのだそうだ。
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