∧∧∧山にまつわる怖い話Part7∧∧∧
『カジリ』
242 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/26 22:17
知り合いの話。
彼のお婆さんの実家の村が、まだ土葬をしていた時代のこと。
家で不幸があり葬儀の準備をしていると、隣村から親戚がやってきた。
親戚は家人に、隣村でカジリが出たと伝えたのだという。
カジリというのは文字通り齧る化け物で、死体を掘り起こして食べるのだそうだ。
どんなに墓の番をしても、夜の間に棺桶の中から死体は消え失せ、
朝には食い散らかされた死体が、村外れに投げ棄てられていたという。
死体を食べられてしまった家には、災いが起こるといわれていた。
カジリは経文や仏具が苦手とされていたという。
しばらくの間、その村で埋葬された死体は、身体中に墨で経文が書かれていた。
お婆さんがまだ幼い頃、彼女のお婆さんから聞かせてもらった話だそうだ。
『酒エチケット』
243 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/02/26 22:18
友人の話。
秋の山を単独で縦走していた時のこと。
開放されていた山小屋に泊まったのだという。
気温はまだ暖かく、虫の声が心地よく響き、空には満月がかかっていた。
酒好きの彼は、日本酒を瓶ごと山に持ち込んでいた。
今夜は美味しい酒が飲めそうだと、ウキウキしながら酒宴の準備にかかる。
つまみを出そうと、机の上に置いた酒瓶に背を向けた時。
ポンッ
背後で栓を抜く音がした。続いて喉を鳴らすような音が聞こえる。
恐怖よりも先に酒を飲まれた怒りの方が強く、彼は怒声を上げて振り向いた。
そこには誰もいなかったが、酒は三分の一ほど分量が減っていた。
「一言でもあれば、一緒に飲んでやったのになあ」
彼は相手の酒エチケットの無さを、今でも責め続けている。
『ある高原で撮影』
244 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/02/26 22:20
知り合いの話。
彼は写真を趣味にしていて、何度かコンクールで賞も取っている。
春先に、ある高原で撮影していた時のことだ。
花一面の高原を見ていると、どうしても人の姿がほしくなった。
たまたま居合わせたカップルに、花をバックにしてモデルを頼んだのだという。
若い二人の笑顔に、自分でも良い写真が撮れたという自信があった。
写真の送付先を聞いて別れたそうだ。
家に帰り、写真を現像した彼は言葉を失くした。
二人の写真には一枚残らず、そこにあるはずの無い物が写っていたのだ。
二人の背後に、大きな黒い鳥居が浮かび上がっていた。
写真は失敗作ということにして二人に謝ろうとしたが、
教えてもらった連絡先の電話は不通になっており、出した手紙も送り先不明で返ってきたという。
彼は今でも二人のことを心配している。
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