∧∧∧山にまつわる怖い話Part6∧∧∧
『魔術の真似事をしていた』
852 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/02/17 01:05
先輩の話。
アメリカ留学中にキャンプに参加した時のこと。
キャンプファイヤーで、ある怪物譚を聞かされたのだそうだ。
今から二百年以上前の嵐の夜、暇を持て余した主婦たちが魔術の真似事をしていた。
悪魔降臨の儀式に差しかかると、突然一人の主婦が抱えていた赤ん坊が姿を変え始める。
顔は馬のように長く、足には蹄ができ、蛇のような尻尾が生えてきた。
背中が大きく膨らむと、皮を破って蝙蝠の羽が現れた。
怪物に変じた赤子は、その場にいた人間を全員食い殺して、飛び去ったといわれる。
この怪物は、母親の名前から「リーズ家の悪魔」と呼ばれた。
面白い伝説だなと先輩が感想を述べると、話はこれで終わっていないと告げられた。
現在に至るまで山や森の中で、引き続き目撃されているというのだ。
それにつれ、名前も「ジャージー・デビル」へと変わったらしい。
家畜や人を襲ったために、大パニックが生じた過去もあるそうだ。
工場や学校が、一時閉鎖されたこともある。
「現に俺たちは、安全のために集団下校をさせられていたんだよ」
話をしてくれた青年は、こう語って肩をすくめたそうだ。
『森林で行方不明になった樵』
854 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/02/17 01:09
アメリカで材木業者に聞いた話。
森林で行方不明になった樵の捜索をしている時、奇妙な物を見つけたという。
薄暗い木立の中で、白い塊がぼんやりと中空に浮かんでいたのだ。
近づいてみると、それは木の間に張り渡された白い繭だった。
人が一人、充分に入るくらい大きかったという。
山の仕事について長いが、そんな代物を見るのは初めてだった。
興味を覚えた彼は、持っていた山刀で、繭に切れ目を入れて中を覗いてみた。
中から異臭があふれて来、黒ずんだ動物の身体が目に入る。
ミイラ状になって干からびた鹿が一頭、繭の中に押し込められていた。
目は虚ろに見開かれ、腹は何か入っているかのように膨れていたという。
ふと思い至った。
鹿を捕まえてこんな繭を作れる生物って、一体どんなやつだ?
急に心細くなり、その場から逃げ出したそうだ。
行方不明の樵は無事見つかったが、その繭にはそれ以降お目にかかれていないという。
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