∧∧∧山にまつわる怖い話Part6∧∧∧
『小さな火葬場』
674 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/02/09 22:08
知り合いの話。
山間にある彼の村には、昔小さな火葬場があったそうだ。
小さいと言っても、煉瓦で組まれた窯と鉄製の大扉がついた立派な建物だったらしい。
そこで働いていたお爺さんに聞いたのだが、時に不思議なことがあったという。
亡骸を焼いていると、中から悲鳴がして扉が力一杯叩かれるのだそうだ。
慌てて内部を確認すると、遺体はきちんと納めたままの格好で横たわっている。
訝しく思いつつも再開すると、また悲鳴が聞こえてくる。
何が悲鳴を上げていたのか皆目分からないので、考えるのを止めたという。
そのうち、係りの者も遺族も、中から声が聞こえても無視するようになったそうだ。
現在その火葬場は取り壊されて、墓参り用の駐車場になっている。
『窯の修繕』
675 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/02/09 22:09
同僚の話。
彼の知り合いに、左官の仕事をしている人がいる。
腕は確かで、泥工と呼ばれる類の仕事は何でもこなす。
その人は若い頃に何度か、火葬場の窯の修繕仕事をしたことがあるという。
釜の内側はかなりの高熱に晒されるため、痛みやすいのだそうだ。
ところが、ある火葬場の窯だけは様相が違った。
まるで鋭い鍵爪で引っ掻いたようなひどい傷が、窯の内面にびっしりとあったのだ。
しかも行くたびに、新しい傷が増えていた。
仕事とは言えそこには行きたくなかったな、と彼はしんみり言っていた。
『焼き場』
676 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/02/09 22:10
知り合いの話。
戦前、彼の持ち山には焼き場が設けられていた。
浅い穴の上に櫓を組み、死人をそこで焼いていたのだそうだ。
魚や植物などと違い、動物の肉というのは焼かれるとかなり収縮する。
また腱や筋などは、高温では溶けてしまい千切れてしまう。
そのため焼く途中で手足は跳ねまくり、まるで暴れているように見えるのだという。
ある夜、彼が火の番をしていた時のことだ。
湿った音がすると、いきなり仏の右足が櫓の外に突き出された。
やれやれと思いながら突いて火の中に戻そうとすると、すぐ横に別の足が飛び出す。
それもまた右足だった。
その夜に焼かれているのは、中年の男一人のはずだった。
立ちすくんでいると、今度は女性の左手が飛び出してきた。
ゆっくりと後退り、燃え尽きるのを待つことにした。
櫓が灰になった跡に残されたのは、一人分の骨だけだった。
そんな体験をしたのは、後にも先にもこの時だけなのだそうだ。
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