∧∧∧山にまつわる怖い話Part5∧∧∧
『真っ暗な山頂』
955 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/18 18:08
知り合いの話。
彼女がまだ学生の頃、家族で山小屋に泊まったのだという。
夕刻遅くに山小屋へ着き、荷物を降ろしている時のことだ。
突然、父親が手を休め、真っ暗な山頂をじっと見上げた。
呼ばれたからちょっと行ってくる。すぐ帰るから。
父親はそう言って山を登っていこうとしたらしい。
荷降ろしを手伝ってくれていた、山小屋の同宿客がするどく叫んだ。
行かせちゃ駄目だ! 帰って来られなくなるぞ。
皆で慌てて父親を引き止めに入ったが、彼は凄い勢いで抵抗した。
しばらく押さえていると、やがて我に返って静かになったそうだ。
父親には、暴れていた時の記憶は無かったという。
『ワンマンショー』
956 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/18 18:09
友人の話。
学生時代、山中で一人で野営をしていた時のこと。
食事をしながら、鼻歌を口ずさんでいた。
彼は自他ともに認めるほどの歌好きで、そのうち興が乗ってしまったらしい。
食事に箸をつけるのも忘れて、文字通り彼のワンマンショーが始まった。
歌い終わると同時に、近くの雑木林の中から拍手の音が響いた。
料理はとうの昔に冷めていたそうだ。
『すれ違う人たちと挨拶』
957 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/18 18:11
先輩の話。
一人で山歩きしていた時のこと。
その山はそれほど高さがなく緑豊かで、女性や子供の登山者も多かった。
緩やかな道を歩きながら、彼はすれ違う人たちと挨拶を交わしていた。
しかし峠を越えたあたりから、すれ違う人が皆彼を無視するようになった。
こちらから挨拶しても露骨に目をそらすのだ。
彼が訝しんでいると、中年の女性登山者が走りよって声高に言った。
どうしたの、その怪我は?
その時初めて、彼は自分の掌が血まみれなのに気がついた。
慌てて確かめると、身体中が切り裂かれたかのように傷だらけで、血を吹いていた。
急に立ちくらみを起こし、病院に運ばれる騒動となった。
割と深い傷だったらしく、なぜか下着の下の皮膚まで傷を負っていたらしい。
不思議なことに少しも痛むことがなく、一晩のうちにすべて完治した。
いつの間にそんな傷ができたのか、彼にはまったく分からないということだ。
958 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/18 18:18
>>956
怖いといえば確かに怖い話なんですが、どこか笑えるような気もしますな。
彼はなかなかに歌が上手く、夕食時には必ず披露してくれたものです。
怪しげな腰振りダンスも魅せてくれる芸達者でした。
しかし、この件以来単独行は止めたそうです。
林の中には、一体何がいたのでしょうね~?
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