∧∧∧山にまつわる怖い話Part5∧∧∧
『餅を搗く』
556 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/04 19:00
知り合いの話。
彼の実家では、毎年暮れに餅を搗くのだそうだ。
山奥の田舎ということで、親戚一同集まってかなり大規模におこなうらしい。
ある時、搗いた餅の数を数えていた彼は奇妙なことに気がついた。
いつの間にか、出来上がった餅の数が、十五個ほど少なくなっている。
家の者に言うと、毎年いつものことだと軽くいなされた。
どんなにしっかり管理しても、十五個だけは必ず失くなるのだという。
「我が家には神様がおられるからの」お婆さんはこう言って笑っていた。
本当に神様だったらいいんだけどな。
彼はそう言って肩をすくめていた。
『五つの地蔵さま』
557 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/04 19:02
知り合いの話。
彼女の実家は、山奥にある過疎寸前の集落なのだそうだ。
先日法事のために、久しぶりにそこに帰った時のこと。
町育ちの彼女は山が珍しく、家の周りの山道を歩き回っていた。
荒れた細い道の傍らに小さな祠があり、中には五つの地蔵さまが並んでいた。
お地蔵さまが寒そうに見えた彼女は、自分の毛糸の手袋で小さな帽子を作り、二つの頭にかぶせたのだという。
それから十分くらいして、帰りにまた祠の前を通りがかった。
誰がしたことなのか、他の三つの地蔵の頭にも帽子がかぶさっていた。
大きな蕗の葉っぱで作ってあったらしい。
彼女の気のせいか、なんとなく地蔵さまの顔が得意気に見えたという。
次の日、彼女は新しく五つの帽子を作って持っていったそうだ。
『遺体が発見された』
558 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/04 19:04
知り合いの話。
行方不明者の捜索で山に入っている時のこと。
遺体が発見されたとの連絡を受けて、応援に向かったのだそうだ。
無線で指示された付近に行くと、あたりの地面にはキャンプ用具が散乱していた。
捜索隊の仲間はいたのだが、どこにも遺体は見えない。
指差す方を見上げると、樹上の葉の間に登山シャツが見えた。
遺体は高い木の天辺あたりにしがみついていた。
ロープで木と身体を固く結わえていたが、どうやらそれは自分で結んだものらしい。
その顔は引きつって歯を剥いていたという。
遺体を地面まで降ろすのに、えらく苦労したそうだ。
死因は心臓麻痺だったということだが、彼を樹上に追いやったのは一体何だったのか、結局分からずじまいだという。
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