∧∧∧山にまつわる怖い話Part5∧∧∧
『池の水門』
409 :聞いた話:03/12/29 01:13
村の青年団員に聞いた話。
山の中にある池の水門を見回りに行った時のこと。
池の上空に、おびただしい数のカラスが飛び回っていた。
異様な雰囲気に呑まれて立ち竦んでいると、
突然、池の真ん中あたりで「ゴボリ」と泡が湧いた。
そこを中心として赤黒く染まり始めた水面に、
今度は大量の肉片や骨が次々に浮かび上がってきた。
それを、待ってましたとばかりに舞い降りたカラス達がついばんでいく…
それは、どことなく禍々しい饗宴を思わせる光景だった。
この頃から、カラスがトンビを追い回す光景が見られるようになったらしい。
『雪の裏山』
410 :聞いた話:03/12/29 01:16
子供の頃の話。
親戚一同が祖父の家に集まった正月、私は屋敷を抜け出して雪の裏山へ入った。
ひょろりと高い木々はきれいに枝打ちされ、下から見上げると枝葉までが遠い。
細い幹に体当たりを食らわせると、てっぺんに抱えられていた雪が落ちてきた。
軽くてサラリとした粉雪は、地面までの長い距離の途中でパッと散ってしまう。
無数の雪片が舞う様を夢中で見上げていると、微かに女の子の笑い声が聞こえた。
近所の子が遊びに来たのかな?と思って辺りを見渡したが、人の気配はない。
視線を下に落とすと、雪面に自分のものではない小さな裸足の足跡があるのに気付いた。
『巨大なつらら』
411 :聞いた話:03/12/29 01:17
ちょっと前の話。
その滝には、毎年冬になると巨大なつららができる。
ある年、寒の入りに行ってみると、つららの中に小さなイワナが閉じ込められていた。
分厚く透明な氷を通して、天を向いたほっそりとした魚体が見える。
鉈でつららを叩くと、イワナは尾鰭をひらめかせて氷中を駆け昇り視界から消えた。
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