∧∧∧山にまつわる怖い話Part5∧∧∧
『先導していた』
101 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/19 20:56
先輩の話。
大学生の時、部活で冬山登山に参加した時のこと。
避難小屋の近くで厳しい吹雪となり道に迷ったのだという。
皆はもう生きた心地もせず、雪中で強引に野営するかどうか決めかねていた。
その時、誰かが道の先でライトを振るのが見えた。
先輩たちが声を上げて手を振り返すと、まるでついて来いというように歩き始めた。
助かったとばかりに後を追った。
いくら足を速めても、なぜか先導の人影には追いつけなかった。
女子の一人が奇妙なことに気がついた。
雪の上には、その人影の歩いた跡が残されていなかったのだ。
皆が黙りこくっていると、やがて小さいが明かりが見えてきた。
避難小屋の明かりだった。
先導していた影は、いつの間にか消えていた。
その人影がそこで遭難した人のものかどうかは分からなかったが、後日先輩たちは
ルート途中にあった遭難者慰霊碑に献花しに行ったのだそうだ。
『咆哮』
102 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/19 20:57
先輩の話。
夕暮れ、深い森の中を歩いていた時のこと。
森の下斜面から、複数の激しい犬の咆哮が聞こえてきた。
野犬か!? 身構えたが、逃げる間もなく声はどんどん近づいてきた。
硬直した彼のすぐ前で、草むらが大きく揺れて分かれた。
何も見えなかった。
彼の目の前を、犬たちの声だけが横切っていった。
吠える声は林道を横断すると、再び森に入り登っていったという。
あたりの地面を調べると、かすかにだが動物の足跡が残されていたそうだ。
次の記事:
『飼ってた犬が身籠った』
前の記事:
『私はかなりのおっちょこちょい』