∧∧∧山にまつわる怖い話Part4∧∧∧
『山林の豪邸』
542 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/05 02:00
同僚の話。
元解体業者の彼は、奇妙な仕事を請け負ったことがあるという。
現場は奥深い山林の中にあった。
かなりの豪邸だったが、更地にしてほしいと頼まれたそうだ。
もったいないと思いながら崩していると、地下に小さな空間があった。
座敷牢だった。
真砂土で埋めてくれと言われたが、そこのごつい格子戸が気になった。
牢の中からつけられた傷が、そこかしこに見受けられたという。
人間がつけられるような、ちゃちな傷跡ではなかったらしい。
傷のいくつかは、明らかにできたばかりの新しいものだった。
依頼主も仕事の紹介者も、それについて何も語らなかった。
あれはいったい何だったのかと、今も時折思い出すのだそうだ。
『囮の鮎』
543 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/05 02:01
知り合いの話。
その日彼は渓流で鮎の共釣りをしていた。
囮の鮎を、川の狙ったポイントに投げ込んだ時のこと。
川面からぬっと蒼黒い手が出て、落ちる寸前の囮鮎をつかんでしまった。
ラインを切られる音がして、手はそのまま水の中に戻ったという。
彼は場所を変えて釣りを続けたが、その日の釣果はボウズだったそうだ。
あの手の主が俺の獲物を全部横取りしたのだ、と彼は言い訳している。
『登山者の影』
544 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/05 02:03
友人の話。
彼が山に登り始めた頃のことだ。
先頭にたって登っている時に、道が分からなくなってしまった。
その時、自分のはるか前を歩いている登山者の影が見えた。
明らかに道が無いような所を歩いているのが気にかかったが、その人について行けばいいやと歩き出した。
いきなり、後から来た仲間に腕をつかまれた。
ついて行くんじゃないと言われ、正しいルートに引き戻される。
前方を見ると、例の人影は背中を向けたまま、その場でじっと足を止めていた。
仲間に尋ねると、良くないものだとしか教えてもらえなかったらしい。
それからも何度かその人影を山で見かけたが、なぜか毎回同じ服格好をしていた。
他の登山者は皆、その姿を見ないようにしていたという。
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