幽霊マンションシリーズ。
『最近、疲れること多い』の続き
∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part36∧∧
394 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/15(火) 23:56:25 ID:nVGDREFi0
友人が呼び鈴に応じ、ドアを開けてしまってから三日後。
姉妹の部屋で異変が起こった。
置いてある物が、空に浮かび上がって飛び回り始めたのだ。
「うひゃぁ!」「ひぃ!」
などと悲鳴を上げながら、頭を庇って外廊下へ飛び出した。
驚いたことに、廊下に出て来たのは二人だけではなかった。
隣近所の住民が、皆外へ飛び出している。
聞けば、やはりどの家でも、ポルターガイストのような現象が起きたらしい。
「管理人呼びましょうか?」
「いや、どちらかと言えば御坊さん呼んだ方が」
「神主か牧師の方がいいのかしら」
怪現象が追ってこない外の廊下で顔を付き合わせ、そんな不毛な会話をしてしまう。
ま、部屋にはとても入れないしね。
皆でしばらく悩んでいると、部屋内の騒音がパタッと止んだ。
「あぁ、治まったみたいだ」
「明日早いっていうのに、とんだ迷惑だな」
「火、消してたかしら」
住民は口々にそんなことを言いながら、平然と自分の部屋に戻っていく。
395 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/15(火) 23:57:06 ID:nVGDREFi0
「何というか、みんな慣れてきているなぁ」
「私らもだけどね」
姉妹も部屋に戻ることにする。
物が散乱した光景を見て、二人揃って溜息を吐く。
「誰が掃除するのー?」
「あたしら以外にいるっていうのか?」
嘆いていると、周りの空気の雰囲気が変わった。
また!? 慌てて外に出ようとした、その時。
「奥の壁にね、人型の影が浮き出したん。
床から天井まで、ピッタリと頭から足が収まった細長い人影が。
うーんとね、非常出口の表示灯があるじゃない。あの白と緑の。
アレに書かれた人型、正にそのままの形してたよー」
「うんうん、ホントそうだったよね。
頭の横に“非常口”って文字があったらピッタリな感じ。
その影がね、そのままスゥーッと横滑りして、ベランダへ飛び出して行ったの。
その後はもう騒霊騒動は起きてないから、アレが原因だったのねー」
・・・飯作ってやるから来いと呼ばれて、そんな話を聞かされてもなぁ・・・
二人の合作料理を食べながら、頭が痛くなった私だった。
396 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/15(火) 23:58:42 ID:nVGDREFi0
姉の話。
妹より一足先に帰ってき、玄関のドアを開けようと鍵を取り出した。
鍵を差し込むより早く、「カチンッ」とロックが解除される音がした。
あれ? 妹の奴、もう帰ってるのかな。
ドアを開けると、そこは真っ暗闇。空気も動いていない。
これは間違いなく、中には誰もいない。
手早くドアをそのまま閉めて、施錠する。
今夜は知り合いの家へ泊まりに行こう、うん、それが良い。
・・・あ、妹どうしよう・・・
ま、いっか。あの子、私と違って手握られたりしてないし、大丈夫でしょ、多分。
実際に被害に遭っていた姉としては、もうとても中に入る気がしなかったという。
サッサと駐車場に下りて原付に跨り、マンションを後にした。
その後も、先取りして鍵が開けられた日は、妹を置き去りにして外泊していたそうだ。
397 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/15(火) 23:59:49 ID:nVGDREFi0
姉の話。
休日、家に一人でいた時。
トイレに入ろうとして、ドアノブに手を掛けた。
掛けた瞬間、「ガチャリ」と中から錠が下りた。
ふえっ!?
慌ててガチャガチャとやってみたが、どうやってもドアは開かない。
仕方なく、下の広場にある公園のトイレに向かったのだという。
何でトイレ(小)のためだけに、七階を上り下りしなくちゃいけないのー!?
ムカムカしながら部屋に帰ってくると、まるで彼女の到着を見計らったかのように、トイレのドアが「ガチャリ」と鳴った。
手を掛けて確認してみる。開いていた。
嫌がらせなのー!?
思わず知人友人に電話を掛けて八つ当たりしてしまう。
・・・される方の身にもなってほしい。
その後も、トイレ嫌がらせは時々あって、その度姉は自室と公園を往復していた。
ちなみに私への八つ当たりも、その都度行われていた。
『だんだんはっきりと見えてきた 前編』に続く
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