幽霊マンションシリーズ。
『跡』の続き
∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part36∧∧
164 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/06(日) 20:47:19 ID:MSwVxYUX0
住民から聞いた話。
小さな子に夕飯を食べさせていた時のこと。
箸が滑って、芋の煮っ転がしが手元から落ちた。
そのままコロコロとテーブルの下に隠れる。
「あーもう。後で拾っとこ」そう考えて食べさせ続けた。
しばらく後、子供の食事もそろそろ終わる頃合い。
テーブルの下から何かが勢いよく転がり出た。
さっき落とした、煮っ転がしの芋が一つ。
誰かが勢いを付けて転がしたかのように、かなりの速度で床の上を転がってから椅子の脚に当たって止まる。
思わずテーブルクロスを捲って下を確認した。
テーブルの下には何も居なかったという。
165 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/06(日) 20:48:07 ID:MSwVxYUX0
住民から聞いた話。
「そろそろ寝ようかと思っていたら、子供が呼びに来たんだよ。
犬がいるって。黒くて大っきい犬が。
へェ何処に?って聞いたら、すぐ外のベランダを指差してね。
下の駐車場にいるのかなって何の気なしにチラッと見たんだけど」
「黄色く光る二つの点が、こちら室内をじっと覗いてた。割と大きかったな。
ギョッとしていると、スゥッと溶けるように見えなくなったんだ。
サッシに飛び付いて確認したけど、ベランダには何もいなかった。
・・・うち、五階なんだよね。
アレどう考えても生き物の目だったけど、何処から来て何処へ行ったんだろ?」
現在ベランダには、近くの神社で貰ってきた御札を貼ってあるのだと。
効果があるのか、以来アレは現れていないという。
166 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2008/01/06(日) 20:49:17 ID:MSwVxYUX0
住民から聞いた話。
彼女の旦那さん、お風呂に入っている時に、必ず歌を唄っているのだという。
「それも加山雄三ばっかり。♪海よ~俺の海よ~♪って下手っぴぃな大声でね。
一人で入ってる時に限って歌ってるから、この前ふと尋ねたの。
何で一人の時は唄ってるのって」
旦那あっさり答えて曰く。
「いやぁ、一人で頭洗ってるとサ。時々誰かが上から押さえてくるんだわ。
こうグッとね。ちょっと怖いけど、頭洗ってるから目開けられないだろ。
だから押さえるのが来たら、鼻歌唄って誤魔化してるんだ。
試した中では、若大将が最強。すぐに居なくなる」
「・・・ちょっと何よそれ!?」
思わず問い詰めたが、旦那さんは肝心の犯人の姿を見たことはないという。
「だって見えたりしたら怖いじゃん。
見ない振りして歌ってたら、向こうもすぐにどっか行くし。
大体今のうちの経済状態って、余所の物件買い直す余裕なんて無いだろ」
これまたあっさりとそう述べた。
そいつが出ているのは旦那の時だけに限るようなので、結局、彼女も気にしないようになったらしい。
「鼻歌が聞こえる度に、あぁまた頭押さえ付けられてるなぁって思うのよ。
何なのかしらアレって?・・・まさか女の幽霊じゃないでしょうね」
妬いているように見えたのは、私の気のせいだと思いたい。
『エンコ』に続く
次の記事:
『蛇の道』
前の記事:
『中国地方の民宿』