幽霊マンションシリーズ。
『ゴミ袋』の続き
∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part35∧∧
869 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/12/28(金) 18:30:00 ID:BrQh9+XQ0
お久しぶりです、雷鳥です。ホント、随分と久しぶりな。。。
しばらく身体を壊しておりました。
いや、仕事を休むほどの重いモノでも無かったんですが。
これからまた、少しずつ書いていこうと思います。
よければお付き合い下さいまし。
えー取りあえず、山裾の幽霊マンションネタの続きです。
これ仕上げないと、他のネタに移り辛くて・・・。
でもこれにまつわる話、なんか書きにくいんです。
短く纏められないっていうか、どうしても冗長になってしまう。
当事者っていうか、実際に関係しちゃうと、簡潔に語れないものですね。
興味ないって方は、無視してスルーしちゃってください。
今後ともよろしくお願いいたします。
ではでは。
870 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/12/28(金) 18:30:42 ID:BrQh9+XQ0
住民から聞いた話。
彼女は山裾の、とあるマンションで一人暮らしをしている。
ある晩遅くに帰ってき、室内の電気を点けて思わず息を呑んだ。
床の上に、金色の棘が山を成していた。
数え切れないほどの画鋲が、床の上に山とバラ撒かれている。
目を閉じ、息を整えてゆっくりと十ほど数える。
再び目を開けると、画鋲は綺麗さっぱり消失していたという。
「それからも職場とかで人間関係が上手く行かなくなると、画鋲が出ていたの」
誰かの悪意が形を取っていたのかもしれない・・・そう彼女は言っていた。
思い当たる節でもあるのかと感じたが、詳しく聞きはしなかった。
871 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/12/28(金) 18:32:35 ID:BrQh9+XQ0
住民から聞いた話。
彼の部屋では、夜電気を消すと、誰かの呟きが聞こえてくるのだという。
ボソボソと小さな声で、内容はちょっと聞き取れない。
だが間違いなく、誰かが部屋の隅でぼやき呟いている。
気持ち悪くてとても確認できなかった。
ある夜、堪らずとうとう電気を点けてみた。
声のする隅の方を見やると、そこには海ができている。
フロアーの一角に、底が見えないような黒い水が溜まっている。
時々黒い水面に泡が立ち、それが弾けると中から人の呟きが聞こえていた。
そこまで確認すると、布団を頭から被って寝ることにした。
何も見なかったことにする。
翌朝、フロアーには海の痕跡すらなかった。
次の日から、彼は別の部屋で寝るようにしたのだそうだ。
872 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/12/28(金) 18:33:57 ID:BrQh9+XQ0
住民から聞いた話。
高い位置にある彼の部屋からは、下の駐車場が一望できる。
最近、夜になるとその駐車場に佇む影があるのだという。
深夜遅くに、薄暗い電灯から離れた位置に、ポツンと一つだけ。
何をするでもなく、身動き一つせず、ただただじっと佇んでいる。
「私の部屋からじゃ遠すぎて、黒く滲んだ影としか映らないのだけど。
でも何故か、その影が人であって、しかも男であることだけはわかるんだ。
パッと見た瞬間に、ああ人だなってね、ストンと理解できる感じ。
その影がまた、家族の中でも見える者と見えない者に分かれていてね。
多分、真っ当な代物じゃなかったのだろうな」
だから影に気が付いても、目を逸らして無視していたそうだ。
「ところがね、どうやら影が見えていたのは、うちだけじゃなかったんだな。
この間、妻が聞き出してきたんだ。
うちの二件隣の部屋、そこの奥さんも影を見ていたらしい。
この奥さん、毎日のように影を見つけては、ずっと目を逸らさなかったとか。
時間が経つうちにフッと消えるんだと。何でそんなに睨んでたんだろうね」
「これがある時、それまでピクリともしなかった影が、顔を上げたんだって。
目があった!って奥さんは感じたそうだよ。
するとね、その翌日から、影は這うような速度だけど、駐車場を渡り始めた。
動いている様子は見えなかったけど、一日ごとに立ち位置が変わってるんで、そうとわかったそうだ。
私もおかしいとは思ってた。影が動いているのははっきりしていたからね。
まさか、ご近所さんが原因だったとは気が付かなかったけど」
873 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/12/28(金) 18:35:06 ID:BrQh9+XQ0
「影が私たちの棟玄関に差し掛かった日、これは間違いないと奥さんは判断した。
“あの影はこの部屋を目指してる”ってね。
影が階段を上るのにどれくらい掛かるか知らないが、とにかくその時点で引っ越しを決意したらしい。
本当、慌ただしく出て行った。
まぁ実のところ、他にも理由はあったみたいだけど。
出て行く挨拶の時に、家の女房にそのことを話したんだって」
「そこの家族が出て行って、五日目くらいだったかな。
真夜中過ぎに、この階でどこかの部屋の呼び鈴が鳴ったんだよ。
夜はこのマンション、すごく静かだからね、小さい響きだけどわかるんだ。
いや、その部屋だったかどうかだなんて確認はしていない。
外なんかとても覗く気になれなかったし。
結構しつこく鳴らされてたけど、余所の住人も誰一人出て行かなかった。
鳴り止んだ時はホッとしたよ」
「影はどうなったかって?
一月もしたら、また元通りの位置に立ってた。
相変わらず、見ても直ぐ目を逸らすけどね。
うっかり目が合ってしまったら、今度はうちを尋ねてくるかもしれないし」
彼はやれやれといった感じで、肩を竦めた。
874 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/12/28(金) 18:35:45 ID:BrQh9+XQ0
住民から聞いた話。
「変なモノ出るよ。うちのベランダに。
時々さ、あそこにある物干し竿が独りでに曲がるの。
こうグーンってな感じで撓って、ビョンって撥ねて元に戻るの。
まるで見えない子供が一人、ぶら下がってるって雰囲気なんだ。
でも洗濯物干してる時には出ないのよ。感心だよね」
この奥さん、あまりというか、全然怖がってはいなかった。
住民の間でも、体験したモノに対する温度差が結構あったのだろう。
『業界人に有名なマンション』に続く
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