幽霊マンションシリーズ。
『部屋の中に入り込んできた』の続き
∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part33∧∧
435 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/04/14(土) 22:26:20 ID:BBTaO7tW0
「○○○号室のあの人、多分もうじきここを出て行くね」
朝方、ゴミ出しのついでに井戸端会議に参加していると、主婦の一人が目配せした。
その視線の先には、ゴミ捨て場から引き上げる女性の姿があった。
あまり親しくない人だ。気のせいか顔色が悪い。
何でわかるんです?
そう聞くと、こんな答えが返ってきた。
「この間の粗大ゴミの日にね、あそこの人、山のように鏡を出してたんだ。
鏡台から洗面台のから、手鏡まで。
ここに住んでる人が鏡を捨てだしたら、まず間違いなく出て行くんだよね、
これまでの経験からすると」
「出て行く理由? それは聞いたことないねぇ。
大方、鏡を覗き込むと何かが見えるようになったからじゃない?」
この発言を聞いて、皆が頷いていた。
あー、余所の家にも出ているんだ、アレ。
同じモノかどうかはわからないけど。
怖い目に遭っているのが自分たちだけではないとわかって、少し安心したそうだ。
436 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/04/14(土) 22:27:58 ID:BBTaO7tW0
あれっ?
ある晩、ふと気が付いたことを姉に話してみた。
「玄関を出たすぐ横の駐輪場があるでしょ。
二つあるうちの一つだけ、ガラーンとして何も置かれていないよねぇ。
前は両方とも満車だったと思うんだけど、どうしたんだろ?」
姉は呆れたように言った。
「あんた今頃何言ってンの。
何も置かれてない方って、すぐ上の人が落ちた場所だよ」
・・・あ。確かに位置的にはそうなるねー。
「いやでも事故の後、掃除が終わってからは、皆普通に駐車してたんだけどねー」
え? まさか何か出るようになったとか・・・
「日が落ちてあそこに行くとさ、大きな黒いゴミ袋が落ちているんだって。
生ゴミでも入っているかのように、汚れた水が滴っているのが。
ただそのゴミ袋、ズリズリとゆっくり這ってくるらしいのね。
駐輪場のコンクリの上に、黒い水の線を引きながら。
びっくりして固まっているとね、足元まで這って来たそれがね・・・」
「話しかけてくるんだって」
「痛いようって、震える声で。この棟の住民の間じゃ、結構話題になった話だよ。
知らないの? あんた、もっと近所付き合いしなさいな」
結局、久しぶりに姉に説教されてしまい、どうにも釈然としなかったそうだ。
437 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/04/14(土) 22:31:07 ID:BBTaO7tW0
部屋の雰囲気が変わってからこっち、変な冷気が部屋に感じられるようになった。
部屋を歩いていると、ある部分の空気だけ、異様に冷たい。
「部屋の換気が上手くいってないのかなぁ」
なぜか私が呼ばれ、換気口など調べさせられた。
どこにも不良な所はない。空気もちゃんと対流している。
しかし、調べている間に感じたのだが、これは明らかにおかしかった。
換気の所為ではない。
まるで冷たい人間大の塊が、部屋のあちこちに突っ立っているという感じ。
・・・良くない。っていうか、これはちょっと普通じゃないと思うぞ。
そう答えながら壁に工具を立て掛けた時。
パキンッ!
何か硬質の物が砕けるような音が響いた。
驚いて壁を叩いてみると、その都度パキンッと硬い音が返ってくる。
「あぁ、冷気が出ている時にね、壁とか床とか叩くと、そんな音が鳴るの。
温度によって材質に変化とかあるのかしら?」
何を尤もらしいこと言ってンだよ。今の音、絶対その類の音じゃねぇよ。
「・・・やっぱしそう?」
だから引っ越せ! それも出来るだけ早く。
入れてくれたコーヒーを飲みながら、私は何度目になるだろうか、この文句を繰り返していた。
「んー、考えとく」
彼女は困ったような顔であらぬ方を見ていた。
438 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/04/14(土) 22:38:04 ID:BBTaO7tW0
こんばんはです。皆さんお元気しておられますでしょうか。
今夜のエピソードから後、他の住民等から聞いた話に何エピソードか移る予定です。
というか、聞いた時はまさか同じマンションの話だとは思ってもいなかったんですが・・・。
調べてびっくりというか、ちょっと鳥肌が立ちました。
久しぶりに嫌~な体験しちまったモンです、ハイ。
それらはまた明日の晩以降にでも。もう少しだけ続きますデス。
ちなみに、
>>423、>>424、そして>>426も私のUPだったりします(苦笑)。
いやマンションの話ばかりだと、どーも疲れまして。
体験談等の文章化は妙に疲れますデス、ホント。
早いところ、普通の短編ネタに返りたい。
それでは。
『誰かの悪意』に続く
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