幽霊マンションシリーズ。
『カリカリという音で目が覚めた』の続き
∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part33∧∧
188 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/04/09(月) 19:25:46 ID:cOrCfpKK0
背高女が覗き込んでいたという数日後、帰宅すると姉が話しかけてきた。
「あのね、この前の日曜に、でっかい女がうちを覗いてたって聞いたでしょ」
聞いたよねぇ確かに。
「今日すれ違ったよ、外の通路で」
・・・え?
夕方買い物から帰ってきてホールから玄関の通路を歩いていると、誰かとすれ違った。
反射的に頭を下げてから、あれっと不思議な感覚に襲われた。
何だ今の? 相手のスカート、私の顔の横を過ぎてったぞ。
振り向くと、異常に背の高いセーラー服の後ろ姿が見えた。
いや、背が高いというよりも、縦方向にグイッと引き延ばしたかのような、そんな変な印象を受けたという。
あまりに高過ぎて、首から上は天井にめり込んでいる。
三つ編みにされたお下げ髪だけが、首の後ろで揺れていた。
それなのに何の抵抗もなく、するすると彼女は足を進めていく。
有り得ない。
凝然と見ていると、すっと角を曲がって見えなくなった。
「どうしよっか?」
どうしようと言われてもねぇ。
晩御飯の間に二人で考えてみたが、結論は出なかった。
189 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/04/09(月) 19:26:29 ID:cOrCfpKK0
友達が泊まりに来た。いつぞやに床から抜けたモノを目撃した女性だ。
例によって、飲んでいて遅くなったらしい。
あの部屋、気持ち悪いとは思うけど、一人で寝る訳じゃないからイイか。
そう思って彼女に電話してきたという。
剛胆な女の知人は、やっぱり剛胆だ。
遠慮なく上がり込んできた友達に、買い置きのお茶菓子を出して応対する。
お茶を入れてから戻ってくると、友達は妙な顔をして菓子を頬張っていた。
あれ古くなってた? まだ買ったばかりなんだけど。
事実、私も姉ちゃんも変な味だと思わなかったし。
ふるふると首を振って否定された。
「いや古くなんかなってないよ。ただね、味が奇妙なの。
抜けてるっていうか、例えれば・・・」
そこで言い淀んだので、何なの?と問い質す。
「・・・仏前にお供えした物がね、丁度こんな風に味が抜けちゃうの。
私の母さんもそう言うの。
最も他の家族は、味の違いなんてわからん!って言うんだけどね」
「あー、うちの祖母ちゃんもそんなこと言ってたよ、確か。
帰ってきた人が食べた後だからだろうって、そうも言ってた」
いつの間にか帰ってきていた姉が、頷きながら別の菓子を頬張った。
この家、仏壇なんかないじゃん。
憮然とした彼女を尻目に、姉と友達は菓子をペロリと平らげていたそうだ。
190 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2007/04/09(月) 19:27:12 ID:cOrCfpKK0
部屋を掃除していた姉が、ねぇねぇと聞いてきた。
「やっぱりこの部屋ってさ、私たち以外に誰かが出入りしていると思わない?」
何でそんな不気味なことを聞いてくるのですか、貴女は?
「いやね、このところ毎朝、決まった物がテーブルの上に落ちているのよ。
置かれているのかもしれないけど。掃除は欠かしていないのにねー」
そういって姉は、団栗を一個差し出してきた。
「これがね、ここ数日、必ずテーブルの上にあるの。
私はそんなことしないし、あんたもしないよねー」
裏山から何か下りてきてるのかな?
「そうかもねー」
「引っ越せ」
それだけ口にした私に対し、姉妹は顔を見合わせて「予算がねー」とハモった。
『寝ていると姉に起こされた』に続く
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