∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part78∧∧
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『奇妙な山小屋』
248 :雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM @\(^o^)/:2015/08/08(土) 20:48:35.30 ID:GXs7IcN60.net[1/4]
知り合いの話。
彼の実家は山奥にあるのだが、そこには奇妙な山小屋があったという。
その山小屋は里の皆が協力して作った仕事場で、山に入る者に限り自由に使うことが許されていたらしい。
そこで寝ていると、明け方、ある音で目が覚まされることがあるのだと。
トントンと包丁で俎板を叩くような、小気味の良い音。
しかし起きてみると、炊事場代わりの土間には誰の姿も無い。
里ではこの音のことを「青菜切り」とか「青物切り」と呼んでいたそうだ。
この音を聞いた者は結婚願望が強くなるようで、遠からず嫁を貰うのだという。
昔は里に永く独り者でいる男がいると、ここに強引に寝泊まりさせたのだとか。
一種の縁結びの神様的な扱いをされていたと聞く。
この青菜切りという怪は人に憑く性質があるらしく、
これを聞いた男が結婚して所帯を持っても、誰も居ないはずの台所でトントンと聞こえることがあるそうだ。
「お節介な存在だよなぁ」と言っていた彼は、まだ独身である。
「そこに泊まってみたら?」と言う私に、「うーむ」と難しそうな顔をした。
『ワラカラ』
250 :雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM @\(^o^)/:2015/08/08(土) 20:50:13.65 ID:GXs7IcN60.net[2/4]
知り合いの話。
彼が実家の山で、棚田の手伝いをしていた時のことだ。
畦に腰掛けて休んでいると、地に面しているお尻がツンツンと突き上げられた。
「うひゃぁ!?」と飛び上がって地面を見たが、そこには何も無かった。
首を傾げて再び腰を下ろすと、しばらく経ってからまた、ツンツンと突かれる。
即座に腰の下を探ったが、やはり何の姿も見つからない。
何回も立ったり座ったりしていると、実家の者がこう声を掛けてきた。
「あぁ、ワラカラに突かれているなぁ。
別にそれ以上の悪さはせんから、放っておきなよ」
ワラカラとは稲藁を意味する言葉だそうで、その里では昔から知られた存在らしい。
決まって畦に座っていると、地面の下からお尻を突いてくるモノなのだと。
その姿を目にした人はいないという。
彼はその後、できるだけ畦に座らないようにしたのだが、
それでも何度かうっかりと腰を下ろしてしまい、その度に「うひゃぁ」と突かれてしまったそうだ。
『V』
252 :雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM @\(^o^)/:2015/08/08(土) 20:51:44.25 ID:GXs7IcN60.net[3/4]
友人の話。
彼が峠道を一人、バイクで走っている時のこと。
頂上の方から一台のバイクが下りてきた。
お仲間かなと目をやると、そのライダーには首から上が無かった。
吃驚している彼に向かい、格好良くVサインを出して走り過ぎていったという。
「そのポーズが、凄くさりげなくて似合っていてさ。
俺もあんな風に、格好良いピースが出せるようになりたいぜ」
「……君、何かズレてるよなぁ」と私が言うと、彼はキョトンとした顔をした。
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