おーぷん2ちゃんねる百物語2015 本スレ
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39 :代理投稿立候補◆YtFiiqjbeo :2015/02/14(土)20:23:54 ID:Vve ×
雷鳥一号◆jgxp0RiZOM
【吸い殻】
山仲間の話。
夏山で単独行をしていた時のことだ。
朝、食事などの支度を済ませてから、テントを畳もうと外に出た。
すると異臭が鼻をついた。山の中ではまず嗅がないはずの臭い。
きつい煙草の臭いが、テントの外に立ち込めていた。
彼は煙草を吸わない。
首を傾げながら周囲を確認すると、テントを囲むように多量の吸い殻が落ちている。
昨日の夕方ここにテントを張った時には、間違いなくこんな物は無かった。
その内一つは、まだ微かに紫煙を漂わせていた。
どうにも気味が悪く、出来るだけ素早くそこから撤収したという。
その後の山行では、もうそのようなことは起こらなかったそうだ。
48 :代理投稿立候補◆YtFiiqjbeo :2015/02/14(土)20:44:56 ID:Vve ×
第16話 雷鳥一号◆jgxp0RiZOM
タイトル【砂浜にて】
友人の話。
海岸の砂浜を歩いていると、行く手からズリズリという音が聞こえてきた。
視線を上げると、西瓜ほどもある黒い毛玉がこちらに這いずってくる。
「何だろう、海草の生えた大っきなヤドカリかいな?」
そんなことを考えながら呆ッと見ていると、そいつがくるりと上を向いた。
目と目が合った。
砂上を這いずっていたのは、男の生首だった。
サッと目を逸らし、見ていない振りをした。
ズリズリと何かが這う音は止まることなく、彼のすぐ横を通り抜けていく。
音が聞こえなくなってから、恐る恐る背後を見てみた。
何かを引き摺ったような痕だけが、岩の向こうに続いていた。
確かめる勇気など無くて、脱兎のようにそこから逃げ出したそうだ。
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