∧∧∧山にまつわる怖い話Part4∧∧∧
『夏山のオートキャンプ場』
933 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/15 23:51
先輩の話。
夏山のオートキャンプ場に家族で出かけた時のこと。
山といっても人里にかなり近く、水道はおろか水洗トイレまで引かれていたらしい。
小奇麗なこともあり、家族連れでにぎわっていたそうだ。
彼が用を足そうとトイレに近づくと、個室の中から見覚えのない男が一人出てきた。
はて、あんな人が今キャンプしていたかな?
その男は野営地の方には戻らず、立ち入り禁止のロープを越えて森の中へ消えていった。
少し訝しく思ったが、気にせず用を足すことにした。
個室に入った先輩は、便器の中を覗いて腹を立てた。
先ほどの男は、どうやら汚物を流していかなかったらしい。
流そうと手を伸ばした時、それが汚物ではないことに気がついた。
水面にびっしりと、薄いセロハンの欠片みたいな物が浮いていた。
おびただしい小さな虫の羽だった。
彼はキャンプ中、子供が立ち入り禁止地区に近寄らないよう注意したそうだ。
『五つの木』
934 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/15 23:53
同僚の話。
消防団で、行方不明者の捜索に駆り出された時のこと。
自殺の可能性があるので、急いでくれとのことだった。
皆で探す場所の分担を決め、彼は先輩団員とともに裏手の山の捜索になった。
出かけようとする彼らを団長が呼び止め、「『五つの木』を見てきてくれ」と言った。
五つの木とは何か彼は尋ねたのだが、先輩は答えてくれなかったらしい。
山に入ると、先輩は迷わず足を進め出した。
やがて開けた場所に出たが、そこの真正面の大木に、何かが二つぶら下がっていた。
まだ新しい死体と、半ば白骨化した腐乱死体だった。
混乱している彼に先輩は教えてくれた。
自殺者は、なぜか決まってこの木で首吊りをするのだという。
これまでに最大、一度に五人もの死体がぶら下がっていたことがあり、それで『五つの木』と呼ぶのだそうだ。
ぶら下がっていたのは、その時の行方不明者ではなかった。
幸いにも、別の場所でまだ生きているところを発見された。
彼らが見つけた二遺体の、身元が判明したかどうかは知らないそうだ。
『屋根裏』
935 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/15 23:57
私の体験した話。
山裾の団地で民家の改装工事を請け負った。
屋根の葺き替えをおこなったのだが、ついでに猫を追い払ってくれと頼まれた。
屋根裏に入り込んで生活しているようで、天井を走り回る音がうるさいのだという。
下請け業者に頼んで、屋根裏の点検と掃除をしてもらうことにした。
工事終了間際になって、指示を出していた業者から来てほしいと連絡が入った。
現場に着いた私は、小さな箱を見せられた。
箱の中には、親子のものらしい小動物の骨が入っていた。
乾燥して脆くなったその骨は、屋根裏の隅に転がっていたらしい。
下請け業者によれば、時たまこういうことがあるのだそうだ。
施主には「猫は追い払いました」と伝え、骨は近くのお寺で供養してもらった。
それ以降、屋根裏で走る足音はしなくなったそうだ。
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