∧∧∧山にまつわる怖い話Part3∧∧∧
『狐と出くわした』
502 :雷鳥一号:03/11/15 19:58
知り合いの話。
戦争が終わってすぐ後の頃だ。
その小父さんは仲間と二人で闇市の仕入れをしていた。
毎朝早くにリヤカーで峠を越えていたのだが、ある朝狐と出くわした。
相棒が石を投げて追い払ったのを見て、小父さんは化かされるぞと注意した。
昼時に相棒が弁当を食べようとすると、弁当箱の中は空になっていた。
ほら見ろ、化かされた。
そう言って小父さんは、半分だけ分けてやろうと自分の弁当を広げたそうだ。
小父さんの弁当箱の中身は、きれいに半分だけ食われていた。
『山奥の道路工事現場』
503 :雷鳥一号:03/11/15 19:59
友人の話。
彼が道路工事でバイトをしている時のこと。
そこの現場は、作業車の他は何も通らないような山奥だった。
ある日の昼下がり、乗用車が一台、現場に侵入してきたのだという。
「出て行け」という注意も聞こえないようで、車は現場の中で止まった。
運転席から降りた男は、トランクから大きな麻袋を担ぎ出してきた。
麻袋からは女性の腕が突き出していた。
その異様な光景に、誰もが近寄るのを躊躇したそうだ。
男は地面に掘られていた穴の中に袋を投げ込み、土をかけて埋めてしまった。
袋が見えなくなると、男はほっと息をつき、車に乗り込んで帰っていった。
誰かが「警察を呼べ」と叫んでいた。
白昼の大胆な死体遺棄犯は、目撃者が多いせいもあってすぐに捕まった。
警察の取り調べで犯人が語ったところによると、
殺した女性を埋めようと山に入ったが、出くわした工事現場に誰もおらず、ちょうどいい穴まであったので、
これ幸いと埋めてきたということだった。
なぜか犯人には、殺した女性以外の存在は見えていなかった。
当時、現場には作業員が十人以上いたと聞かされても、信用しなかったという。
その全員が目撃者だと聞いた時は、唖然としていたそうだ。
『山火事の鎮火活動』
504 :雷鳥一号:03/11/15 20:00
同僚の話。
消防団で大規模な山火事の鎮火活動をしている時のこと。
ホースを手繰っていると、燃え尽きて灰に覆われた斜面に何か見えた。
小さな水色の花が一輪、真っ直ぐに立っていた。
それを見た年配の団員がぽつりと言った。
ヒドメが出たな、この火事は大事にはならないよ。
山火事はその日の夕方までには無事に治まったということだ。
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