怖い話&不思議な話の投稿掲示板
投稿者「朝比奈 ◆ZGzm/Jc.」 2023/02/24
先日、黒崎さんと久しぶりにお会いして、妙な話を聞きました。
黒崎さんが今住んでいるアパートは、三階建てで、一つの階に部屋が三つある造りになっています。黒崎さんはその真ん中、二階の真ん中の部屋に住んでいます。
右隣はスキンヘッドの物騒な雰囲気な男が住んでいて、左隣は大学生風の爽やかな青年が住んでいます。(この表現は黒崎さんの言ったそのままの表現です)
部屋はよくある六畳のワンルームだそうです。
妙な話というのは、この両隣の隣人に関することです。
夜、黒崎さんが自分の部屋で寝ていると、左右の部屋に面した壁の一方から、光の玉が現れるそうです。
左右どちらから現れるかは決まっていません。
光の玉は、昔の裸電球の光によく似た、黄色っぽい光だそうです。
玉はふわふわと部屋のなかをゆっくり飛び回ったあと、反対側の壁へと吸い込まれていきます。左の壁から出たときは右の壁に消え、右の壁から出たときは左の壁へと吸い込まれます。
この玉が吸い込まれた側の隣人は、翌日、必ず黒崎さんを訪ねてきて相談をします。
相談内容は三種類で、ランダムにどれかが選ばれます。
①母親からの仕送りで蛾が送られてくる話
②父親の背中に張り付く針金お化けの話
③弟の彼女が真っ黒に見える話
このどれかだそうです。
まったく同じというわけではなく、その時々で表現や言い回しは違うのですが、本筋は変わらないそうです。
彼らはいつも、それを初めて話すかのように振る舞います。前にも聞いた、という指摘や、それは反対側の隣人から聞いた、という指摘は無視されます。
上に書いたとおり、話の内容はマトモとは言えません。しかし本人たちは大真面目な様子で話し、最後に黒崎さんにアドバイスを求めます。
「自分はこれらの出来事に、どう対処したらいいのか?」
黒崎さんがなにかしらアドバイスをすると、彼らは納得して帰っていきます。アドバイスをしないといつまでも居座り、怒って暴れるか、泣き叫びます。それでもなお放置した場合、突然静かになり、無言、無表情で帰っていきます。(試したそうです)
彼らは、翌日にはこの相談のことを忘れてしまいます。
黒崎さんは元々、そういう物件だと知っていてその部屋を借りたそうです。左右の隣人が異常な相談をしてくる部屋ということで借り手が居着かなかった部屋を、格安で借りています。
よくそんな部屋で暮らしていられるな、と私などは思うのですが、黒崎さんは平気なようです。
それどころか、実験ノートのようなものをつけています。光の玉の挙動、話す内容、アドバイスへの反応など、色々と試しては記録しているようです。
黒崎さん曰く、左右を行き来するのは誰かの魂で、その魂が隣人に憑いて自らの体験を相談してきているのだそうです。だから適切なアドバイスをしてやれば、悩みは解決して成仏できる。そういうものだと言います。
なにがどうなったら解決なのかもよくわかりませんし、なんでそう言い切れるのかもよくわかりません。
次の記事:
『小枕山』『ポルターガイスト現象が起こる部屋のライブ配信』
前の記事:
『蛙の足を切るコウ君』