海・山にまつわる怖い話・不思議な話 2
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『幽霊船』
576 :本当にあった怖い名無し:2019/04/23(火) 20:47:02.68 ID:EzdkLhno0.net
石じじいの話です。
海の話をしましょう。
漁村の友人がじじいにしてくれた話です。
幽霊船が出たそうです。
じじいの故郷の近くには、長く突き出た岬と深い湾が繰り返す海岸線が続いています。リアス海岸というやつですね。
その湾から外洋に出て漁をすると、所属不明の船に遭遇することがありました。
それは、大きな白い帆をもつ木造船だったということです。
風の無い日でも、いつも帆をはっていたそうです。
いつでも出ました。天気の良い日中にも、夜明け前の薄暮でも、雨の日も。
たいてい漂っているのですが、風をうけて高速で走っていることもありました。
走っていない時に近づいてみても、乗組員はいない。
そのあたり一帯の漁村の昔からの言い伝えで、
その船には関わるな、乗り移るとその人たちが消えてしまう、というのがあったそうです。
だいたいは陸地からかなり離れたところにいるのですが、
たまに湾内に入って来ることがあり、その時にはそこの漁村に病気が流行ると言われていました。
全ての漁村ではありませんが、ある場所ではその船を鎮めるまつりごとがあったそうです。
村でその年に当番となった者が一人で行いました。
海岸に打ち上げられた古い朽木を切らないで、その片面に五寸釘を数本さします。
その反対側に、長い竹ひごにお経のようなもの(詳しくは不明)を書いた短冊を指して帆のようにしたものを取り付けます。
錐で穴を開けて差し込んだそうです。
これでヨットのようなものができるわけです。
それを、その年の二回、春分の日と秋分の日の日暮れどきに海に流すのだそうです。
その「船」は、風が無くてもどんどん沖に流れていきました。
こうすると、その船がひどい災厄をもたらすことはないのだとか。
戦争が激しくなると、その船が米国の諜報活動戦ではないか?と軍部は考えたそうですが、
地元の漁民たちは戦争の始まる前からよく目撃していたので、その説を一笑に付しました。
終戦間際になって、本土沖まで我が物顔でやってくるようになった米国の潜水艦が、その船を誤って攻撃したという噂もあったそうです。
戦後になって、その船の出現は非常に稀になったそうですが、今でもでるのだとか(じじいの話してくれた当時)。
『ヤウスン』
617 :本当にあった怖い名無し:2019/05/04(土) 17:56:43.62 ID:Sm2Q2Bag0.net
石じじいの話です。
じじいは朝鮮に住んでいるとき、何度か満州、蒙古に旅をしたそうです。
これは、蒙古(満州国領内モンゴル)での話です。
モンゴル人は非常に目が良く、遠くのものをよく見分けたそうです。
遠くを見ていて、「ほら、あれ!ドルジ(仮名)がやってくる」と言われて、
それから30分ほどして、馬に乗ったドルジさんが姿を現わす、といったふうだったと。
馬で旅しているとき、同行のモンゴル人が草原の彼方を見て急に慌てた様子になったそうです。
馬を降りろと言って、あちこち走り回ってお経?を唱えながら石を拾いはじめました。
彼は拾った石を円形に並べて、じじいと同行の中国人に、この中にうつ伏せになって外套を被れ、と命じました。
モンゴル人も自分の外套(デールといったそうですが)を脱いで被りました。3人は互いに身を寄せ合っていました。
「動くな、音をたてるな、外を見るな」と言われたそうです。
モンゴル人は非常に緊張しているように見えました。
長い間そうしていた記憶があったそうです。
強い風が吹いて地表近くに砂が舞っていて、それが外套の隙間から吹き込んできて顔に当たるのが不快だったと。
突然、家畜の死体のような臭いがしてきました。
そして、馬の蹄の音がゆっくりと近づいてきました。
それは、伏せているじじいたちの頭の先ぎりぎりを通って、そのまま歩き去っていきました。
そのとき強い風が吹いて、じじいの外套をちょっと浮き上がらせたので、その去っていく者の姿が見えてしまったそうです。
618 :本当にあった怖い名無し:2019/05/04(土) 17:57:50.00 ID:Sm2Q2Bag0.net
それは、白い斑の馬に乗った、緑色のモンゴル服を着た女性だったそうです。
その頭の髪型から「女性」のように見えたと。
モンゴル人は、じじいの腕をぐっとつかんだそうです。見るなと言わんばかりに。
じじいたちの乗って来た馬たちはおとなしくしていたそうです。
かなりの時間がたってから、モンゴル人はゆっくりと起き上がりました。
深いため息をついて「ヤウスン」と言ったそうです。
じじいたちは、モンゴル人にあれは何か?と尋ねました。
モンゴル人曰く、
あれは非常に良くないモノだ。人間ではないのだろう。
草原を旅していると、ごくたまにアレに出会うのだ。
岩山では出ず、かならず草原に出る。
アレは、かならずこちらにやってくる。逃げても必ず追いついてくる。
できるだけ早く気がつくのが大事だ。
じっとしていると害をなさず行き過ぎていくが、気づかれると必ず死ぬ。
そのような死体が見つかることがあるし、伏せている途中で我慢できずに走り逃げたものが死んだこともある。
油断して気づかないでいると手遅れになるので、これからの旅でも注意しろと彼は付け加えたそうです。
草原を旅すると、怪しげなものに出会うことがままあるということでした。
夜、野営していると灯火が遠くに動いている。ある程度の距離まで来て、そこからいっこうに近づかない。
首の無い牧夫が馬に乗って歩いている。その馬にも頭が無いとかあるとか。
などなど。
「斑らの馬にのった緑色の女性」は非常に危険で、対処を誤ると必ず死んだそうです。
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