海・山にまつわる怖い話・不思議な話 2
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162 :本当にあった怖い名無し:2018/10/15(月) 00:47:07.85 ID:qbr2sqLZ0.net
石じじいの話です。
海の話をしましょう。
じじいの友人が島嶼部にいた事は以前お話しました。
じじいは友人と二人で昼に無人島に行きました。
まあまあ大きな島でしたが水はなかったと。
砂浜があったので、たまに近くの人たちが舟で海水浴に訪れることもあったそうです。
夕方近くになって帰ろうとしたら、舟のエンジンの調子が悪い。
友人は非常に不愉快そうで苛立って早く帰ろうとしていましたが、夕暮れが近づき暗くなってきたので修理が終わりませんでした。
そのため、無理をしないで島に一泊しようということになったそうです。
食料も水もほどほどに残っていたので、じじいはむしろその一泊の経験を楽しいと思いました。
しかし友人は違ったと。
友人は焚き火(木がはえていて、枯れ木がたくさん海岸で拾えたそうです)を前にして言いました。
「ええか、今日の夜は、寝たら、なにも考えんようにせんといけんで。
考え事せんとさっさと眠るんよ。
そうよ、いちばん大事なんは、死んだ人のことを考えたらいけん。
いや、死んだ人やのうても生きとる人でもいけん。考えたらなあ」
じじいは、おかしなことを言うもんだと思い、どうしてか尋ねました。
友人は明言を避けて、この島では(ここらの海では?:メモに両方の記述あり)そうしないといけないのだ、と言いました。
じじいは友人の助言を聞いて、努めてなにも考えないようにして寝入ろうとしましたが、かえって目がさえてなかなか眠れませんでした。
そして、いろいろと考えをめぐらせてしまったたそうです。
眠れないでいると、砂浜の砂利を踏みしめて人が近づいて来る気配がしました。
163 :本当にあった怖い名無し:2018/10/15(月) 00:48:13.65 ID:qbr2sqLZ0.net
大きな動物はいないので、来るのは人しかいない。
月の光で砂浜は青く光っていました。
じじいが警戒してその人物をよく見ると、それはじじいの知り合いの女性だったそうです。
(その人物の詳しい記述はメモにはありません。私が忘れたか、じじいが説明をぼやかしたのか?)
その女性は、じじいから少し離れたところに正座して声をかけてきました。
「なつかしいね。ひさしぶり。元気でしたか?無事に国に帰ることができてよかったですね」と。
もちろん、これはありえないことなので、じじいは友人を起こそうとしましたが、隣に寝ているはずの友人がいない。
じじいはその女性に向き直りましたが、女性はまだそこに座っていました。
彼女はさらに昔の思い出ばなしをし始めたそうです。
それは、まさにその女性しか知らないことでした。
じじいは、この女性のに応答してはだめだ、と思い沈黙していましたが、
この話を聞いていても危ないのではないか?と思い、横に置いていた枯れ枝を彼女に近くに向かって投げたそうです。
164 :本当にあった怖い名無し:2018/10/15(月) 00:49:33.84 ID:qbr2sqLZ0.net
女性はそれにはまったく動ぜず、話すのをやめて空を見上げて(暗かったのですが、そう見えたと)またじじいに向き直り、立ち上がりました。
そして、やってきた方向に向かって歩いて戻っていったそうです。
じじいは恐怖心と警戒心ですぐには眠れませんでした。。
朝方になって少し眠ったそうですが、目をさますと、いなかったはずの友人が舟の修理にとりかかっていたそうです。
夢かとも思いましたが、投げた木の枝がその場所に残っていたので、そうとも思えない。
じじいは友人の作業を手伝い、昼頃に島を離れました。
帰る舟のなかで「あれはなんぞ?」といきなり友人に尋ねたところ、
「おおう、あれいおうたか?あがいなもんがあの島にはおるんで。とくに今頃の時期はな」
詳しくは説明してくれなかったそうです。
「おまえ、昨夜どっかいったか?」とも尋ねましたが、
「いいや、どこへいくんぞ、あがいな狭い島で。お前の横で寝よったやないか」と友人。
じじいは、あの時、あの女性と話をしたらよかった、惜しいことをした、とすこし後悔したこともあったそうです。
「そんときは、そうそうおもうたけどのう、未練がましゅうしとったらいけんちゅうことやったんかいな。
人間、執着心は捨てれんもんよな」
じじいは笑っていいました。(それは覚えています)
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