【新】海・山にまつわる怖い話・不思議な話 1
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『ミサキ』
657 :本当にあった怖い名無し:2018/06/09(土) 17:35:08.44 ID:XdB9zOHY0.net
石じじいの話です。
人にとり憑き禍をなす悪霊として「ミサキ」というものがあります。
じじいの故郷の近くの土佐などでは「七人ミサキ」という話がありました。
名前は、今では全国でも知られているでしょう。
じじいがミサキについて私に語ってくれたことや、私の祖父母が語ってくれたことを書いてみましょう。
この死霊は、非業の死をとげた人が成仏できずにさまよっているものらしいのです。
水死者、焼死者、自殺者、行き倒れの霊。
地方によって違いがありますが、ミサキには海の沖や磯、川で出会うことが多く、水と縁が深いようです。
これに取り憑かれると、医者にかかるのは二の次で、呪禁によりとり払うとか。
送り念仏、神職による祓い、僧侶による祈祷などで落とし、その後に医者にかかります。
結局、医者の手当を受けることは外せない、ということが現代的です。
巫女によって、そのとり憑いたミサキの無念を語らせることもあったそうです。
ミサキは、夕方暗くなった時に海の近くの山を歩いていると、とり憑いて海へ誘い込むのだそうです。
犬の鳴き声がすると、それに憑かれたことに気がつくとか。
658 :本当にあった怖い名無し:2018/06/09(土) 17:35:26.96 ID:XdB9zOHY0.net
ミサキのためには、お盆に軒下に芭蕉の葉っぱを置いて、その上に「おしょらいだな」でお供えするものと同じものをお供えするのだそうです。
また、あるところでは、寺の近くの丘の東南の斜面にある墓地の端に、墓石ではない自然石を積んで塚とし、ミサキを祀っていたそうです。
「七人ミサキ」とは、山に狩りにいった七人の狩人が遭難して死んだのを弔うためのものだったという話もあったそうです。七人塚とも言った。
その時に、犬が七匹同時に死んだそうです。
また、昔、殿様の鷹狩のさいに、無礼があったとして七人の村人が殺害されましたが、
そうしてむごたらしい殺されかたをした人は成仏できず、人を道づれに殺すのだそうです。
そうすることで成仏できるのだそうです。七人の6倍、42人殺すのだとか。
この言い伝えがある地方には、「七霊の合祀」という碑が建っているそうです。
『昔はな、お遍路さんの行き倒れもようけあったんで。健康な人ばっかりやなかったけんね。死に場所を探して歩きよった人もおんさったようよ。
わしが子供の頃も、行き倒れた人が何人もおってな、村でお葬式したもんよ』
『ドウロクジン』
659 :本当にあった怖い名無し:2018/06/09(土) 17:36:56.83 ID:XdB9zOHY0.net
石じじいの話です。
じじいのふるさと(=私のふるさと)には、ミサキという悪霊の他に、
「ドウロクジン」、「ホウカイ様」という存在があります。これらも無縁仏です。
「ミサキ」と同じ存在ですね。
『おやじらがな、道の四辻で「道の端のドウロクジン」いうて唱えよったい。
それなに?いうてきいたら、行き倒れのお遍路さんのことよ、いうて教えてくれたい』
ドウロクジンは、無縁仏で、家に帰れない人、帰っても誰も祀ってくれない人の霊が道の四辻に、うろうろしているものなのだそうです。
四辻には、おにぎりなどの食べ物を供えます。これは、その霊が餓鬼である、という認識があったからだと。
四辻におにぎりが供えてあっても絶対にとってはいけない::というのが親からの言いつけだったそうです。
太平洋戦争はるか以前の話ですからね。
「ホウカイ様」も同じような存在です。うら盆に焚く松明をホウカイと呼んでいました。
葬式の帰りは、悪霊が家についてくる危険性のある時だったそうです。
「七人ミサキがついちょるかもしれん」といって、からだを箕で扇いでもらうことがあったそうです。
また、外で具合が悪くなって帰って家に入る時に、その直前に、おなじように箕で扇いでもらう風習もありました。
これは七人ミサキがいる四辻を通ったから、それにとり憑かれたのだ:ということでした。
『犬神はとり憑くわ、ミサキは来るわ、ホウカイ様は四辻に待ち伏せしとるわ、油断できんかったで。昔わな。
戦争があって、みんなおらんなったなw』
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