怖い話&不思議な話の投稿掲示板
投稿者「東京から来た人」 2020/03/11
あの地域の人が見たら個人特定されるかもしれませんが、私は二度とあの辺りには行かないので書く事にしました。
昔、九州某県で民間マッサージ師として数年働いていました。
親戚も居ない、友人を名乗り気取る馴れ馴れしい客、方言にも地域の風習にも食べ物にも慣れず、
(早くここから出たい)そればかりを願う日々でした。
①ある時、馴染み客が仕事の都合で深夜にして欲しい、店のオーナーには内緒で少し上乗せするから、と頼まれました。
同性ですし、非常に揉み甲斐のある人でしたので快諾し、
オーナーには「翌日も朝から通常営業するなら」と
(今考えても本当にブラックです)許可を貰いました。
彼女を揉み始めて小一時間程した頃に、有り得ない方向からの視線を感じました。
壁際の植木鉢の根元から。
(気のせいだ)と無視していたのですが、時計がその植木鉢の隣にあるので、
仕方なく見るとも無しに目を向けると、こちらを睨み付ける眼が。
(…疲れてるのは私なのか、この人が憑かれているのか)と意識の外に排除して、仕事に専念しました。
後日彼女が再び深夜に来ました。
視線も同じように感じますが、無視しました。
すると彼女から「寝そうだから話して良い?」と。
まぁつまり彼女の元夫は、自営業(某コンビニオーナー)に大失敗して、
自分と彼女の親達に莫大な借金を抱えて、行方不明(当時)であること、
彼女の親が激怒して相手の親に訴訟を起こし、相手親は自己破産した事、等を実に楽しそうに話すのでした。
(あぁ視線の主は元夫か)と納得出来る話し振りです。
見合いでなく恋愛結婚なのに、聞いてるこちらが辛くなる程の悪口雑言にはびっくりでした。
②最初はメールでの問い合わせでした。
「狐憑きは祓えますか」。
勿論そんな技能はありませんので、言葉を選んでお断りしました。
数週間後に女性の声で電話があり、「はい〇〇マッサージでございます」にいきなり
「狐を祓って欲しいんですよ!」。
面食らいつつ、自分には憑いているかいないかもわからないので出来ません、をやんわりきっぱり伝えました。
何度か同じ内容の電話が来ましたが、全て同じように返しました。
一ヶ月位は何も無かったので終わったと思っていたのですが、予約無しに来店されました。
他のお客様を施術中だから来るなら時間変更を、とお願いしても
「私に憑いてる狐を祓って欲しいんですよ!」を繰り返します。
運転手らしいお連れ様はニヤニヤとこちらを見るだけ。
「申し訳ございませんが、きちんと国家資格のある鍼灸指圧師さんやお医者様の方がよろしいのでは?
それとしつこいので警察に偽計業務妨害で相談しますね?」
と話すと、連れの人が慌てて狐さんを連れて行きました。
お客様はオーナーのご親戚だったので、お詫びして、少し長めに施術しました。
すると「昔はあんな人がここら辺にはいっぱい居たのよ、久し振りに見たわ」との事。
一番怖いのはやはり人間です。
長くなりました、すみません。
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