ほんのりと怖い話スレ 137
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1564090249/
321 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:15:14.47 ID:yeRqDiJO0.net
さて、ラストスパート行きます。
病院の怖い話と怖くない話 81.バーコード
別に禿頭の患者さんの話ではありません。
ある入院患者さん、スケッチブックに何か描いてる。
別に全然問題ないしむしろ健全な趣味だなと思ってたんだけど、ただ向かいのベッドを見ながら描いてるのね。
空のベッド描いて面白いか?ちらっと見るとびっくりした。
全然絵じゃない。縦の線をひたすら並べているだけ。
太い線、細い線、まるでバーコードみたい。
「少し待ってください」言うので待っていると、ページをちぎって「あげます」
なんですかこれ?と聞きたかったんだけど、もう既に別のベッドのスケッチを始めている。
凄く気になったので、(まさかね)とは思いつつ下のコンビニに行って「これ、ちょっとスキャンしてくれませんか」
「何ですかこれ?」
ピッ、反応した。
「何これ?」すごく気味悪そうにしている。
プリントしてもらって見たら
"平成29年2月14日 山本直子(仮名) ¥0"
鳥肌が立った。知っていた患者さんだったから。
「今スケッチしているベッドは患者さんいるんだけど」泣きそうな顔で彼女は言う。
322 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:16:03.83 ID:yeRqDiJO0.net
病院の怖い話と怖くない話 82.外国人の患者さん
家族連れの白人系の家族。息子さんの具合が悪いらしい。
英語ができるスタッフがいるんでコミュは出来る。
ただ家族で話している言葉を聞くと、母国語は英語ではないっぽい。どうもフランスかイタリアみたい。
「イタリアだと思った」「ママがガタイ良くって場を仕切ってたし、たまに『マンマミーア』言うてるの聞こえた」
子供さんの熱は37度。微妙。
聞くと、サイゼリアで「うまいうまい」とたらふく食べて、しばらくして「お腹が痛い」と言い出したそうだ。そりゃただの食べすぎだろ。
2時間ほどベッドで横になってトイレ行ったらすぐに元気になった。
で、病院を出る時に何か言ってる。
通訳してもらうと
「イタリア語交じりの子供の発音だからよくは分かんないんだけど」
「兵隊が居たと言ってる」で、「お前らのせいで負けた」と言われたって。
まあB棟は戦前からある建物だし、戦時中は疾病兵の面倒も見てたからね。
323 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:16:42.64 ID:yeRqDiJO0.net
病院の怖い話と怖くない話 83.コンクリ打ちっぱなしの部屋
C棟は戦後に作られた建物で、B棟よりはだいぶん新しい。
で、3階入院棟の端っこの部屋が病室として使われずに物置になってる。
部屋の内装もされず、壁の一画がベニヤ板で塞いである。普通はクロスなのに。
最古参の師長ですら又聞きでしか知らないのだけれど、建てたときにその壁に人の影が浮かんでたんだって。
気持ち悪いから漆喰で塗り込めたんだけど、次の日また現れている。
そんな事を繰り返していたら、だんだんその部分だけレリーフみたいに人の形に浮き上がってきた。
もう手に負えないのでベニヤ板で隠して、物置として使ってるんだって。
病院の怖い話と怖くない話 84.鼻から牛乳
嘉門達夫の曲ではありません。
骨折で入院の患者さん、時々鼻から白い鼻水を流す。
「脳みそが鼻から流れ出てるんです」お前ヤクやってるだろ。
「あるいは牛乳かもしれません」絶対ヤクやってるだろ。
でもティッシュで拭いて匂いを嗅いでみると、確かに牛乳っぽい匂いがする。
念のためにその日のメニューを見ると、朝食には牛乳が付いている。でも8時間前だ。
血液検査のデータを見ても、薬系の異常は見られない。
なんとなく憎めない感じの患者さんだったので、空いた時間に話を聞いてあげた。
自宅の近くにすごくおいしいステーキ屋さんがあって、特に子牛のステーキが絶品なんだそうだ。
給料日の度に食べに行ってると。
「母牛が子供たちに飲ませたかったお乳なんかな」
324 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:17:43.91 ID:yeRqDiJO0.net
病院の怖い話と怖くない話 85.テレビ
あるおばあさん、よくテレビを見ている(6人部屋はテレビはカード購入必要なのが心苦しいんですが)
そして、他の患者さんを気遣ってイヤホンをつけて音を消している。気配りの良いおばあさんだ。
が、ある時見てびっくりした。イヤホンジャックがテレビにささっていない。つまり、無音で画面だけ見ていたのね。
それによく見ると番組がなんか古臭い時代劇。
この時間に地上波でそんな番組やってたかなあ、と新聞のテレビ欄見ても報道系ばっかで地方局にもそんなのない。
すごく気になったんである時「なんの時代劇なんですか?」聞いたら、
「わたしゃ見てないよ、この人が見てるんだけど、うるさいから耳栓代わりにこれ付けてんの」
この人ってどの人だよ。
325 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:18:17.54 ID:yeRqDiJO0.net
病院の怖い話と怖くない話 86.病室の絵画
病室には絵が必ず1枚か2枚飾ってある。
ほとんどは版画(ラッセンとかヤマガタとか)なんだけど、ある病室には鉛筆のデッサン画が何枚かと、あと真っ黒な油絵が1枚飾ってある。
それはその病室に入院していた患者さんが描いたもので、無名だけれど二科展にも入選した事があるそう。
鉛筆デッサンは窓から見た風景とか静物画なんだけれど、ある時どうしてもと頼まれてイーゼルと画材一式を持ち込んで油絵を描き始めたそう。
末期のがん患者さんで、もう終末治療みたいなものだったのでその程度は許してあげた。
油絵って下地を塗ってそこに絵の具を積み上げていくような描き方なんで最初は何の絵か分からなかったんだけど、どうも肖像画を描いてるらしい。
しかしおかしいのは窓を見ながら描いてる。しかも消灯後にスタンドライトの明かりで。
別に肖像画を描くのはいいとして、なんで窓を見ながら描く。
徐々に絵が出来上がってきて、まあ美人と言っていい女性。
顔がだいたい出来上がって、手を描き加え始めた。なんというか、こちらに向けて何かを握ってるみたいな構図。
次にその上に描き加え始めた。
窓枠。
最後に全体を整えると、夜景をバックに窓にしがみついている女性。ちょっと、いくら末期がんでも趣味悪くない?
次の日巡回に行くと、全面を黒い絵の具で塗りつぶしていた。
いくら不気味な絵とはいえもったいないので理由を聞くと「一緒に行こうかなと思ってたんだけどやっぱりやめた」何それ?
次の検査で驚くことが分かった。がんが縮小している。
そして最終的に消滅し、患者さんは無事退院して行った。
スケッチも油絵も「あげます」
油絵は、気持ち悪くもあるものの何だか縁起物のようなような気もして、目立たない場所に飾った。
そうして、その後その病室にがん患者さんを入れるとほとんど治療がうまくゆくので、「B4-4」とは言わず「がんの部屋」と呼んでいる。
327 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:19:48.05 ID:yeRqDiJO0.net
病院の怖い話と怖くない話 88.焼き人形
変なタイトルだな。
"わら人形"なら板にふさわしいし、"人形焼"だと「別板行け」って言われてるところだ。
ある地方から越してきた家族がいて、その土地では流産した時には棺桶の中に人形を入れるそうだ。
理由は「ひとりで旅立つのは寂しいだろうから」
人形は簡素なもので構わなくて、紙でもいい。
もう想像ついてると思うけど、その妊婦さんが流産した。しかも双子。
お母さん(おばあさん)がずっと付き添って「まだ若いんだから」とかひとしきり慰めた後で、何か悩んでる。
「こういう場合はどうしたらいいんかねえ」「やっぱり人形も2体用意せんとあかんのかねえ」
そんな事聞かれても...私その土地の人間じゃないし。
「土地の神主さんとか住職さんに聞いたら...」
結局菩提寺の住職さんに連絡が取れて
「人形はいりません。ひとつの棺桶で弔って下さい」
でもそれじゃお骨がごちゃ混ぜになってしまうじゃん。
「戒名もひとつで良いです」「ただ、位号(最後に付くやつ)は『水子壱、弐』として下さい」
なんだよそれ、仮面ライダーじゃあるまいし。
理由を聞くと、
「あまり凝った弔いをすると執着心が残るから」
だそうだ。
病院の怖い話と怖くない話 89.そこまで言って○○〇会
関西では有名な番組。彼女も録画して見ている。
ある入院患者さんがその番組を見ていたんだけど、「なんでこの人首絞められてるの?」
見ると元議員の有名な女性コメンテーター。でも首なんか絞められてない。
番組当初の看板だった方なら冗談でそういう事したかもしれないけど、もう亡くなってる。
別に認知入ってる患者さんじゃない。
「上の段に4人、下も同じでしょ」「でもあの人だけ後ろに人がいる」
328 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:20:43.05 ID:yeRqDiJO0.net
病院の怖い話と怖くない話 90.保険外交員
ある病室の患者さんに廊下で声をかけられた。「隣のベッドがうるさい」
覗くとそのベッドは4歳の女の子の入院患者さんで、お母さんがすすり泣きながら「ごめんね、ごめんね」「私が悪かったんだよね」とか言ってる。
なだめて話を聞くと、最初は言い渋っていたんだけど吐き出したかった気持ちもあったみたいで少しづつ話し始めた。
彼女は元、かなりやり手の保険外交員で、今はコンサルティング会社に転職してるそう。
しかも某マルチ商法も副業していて、そっちのルートも使ってかなりの顧客を持っていたそうだ。
ただ、転職が決まった時に自分の顧客をうまく言いくるめて条件の悪い保険に乗り換えさせ、歩合給をたっぷり稼いでから辞めたと。
時はまさにバブル崩壊後でその生命保険会社がなんと倒産、外資系の会社に吸収され、ただでさえ悪い条件の契約をさらに買い叩かれて顧客は踏んだり蹴ったり。
顧客は文句を言おうにも彼女に連絡が取れない。
「悪い事をしたとは思っています」思ってねーだろ。
さて、その女性に子供が生まれた。
当初は順調に育っていたんだけど、先天的な疾患が発見された。
臓器移植が必要な重いもの。
その当時日本では無理だったのでアメリカとかで手術しないといけないのだけれど、膨大なお金がかかる。
その頃既に"○○ちゃん基金"みたいな前例はあったんだけど、それをやろうとすれば名前も出るし顔出しもしないといけない。
彼女の事をかなり恨んでいる元顧客もいるだろうから、それはしたくない。(身勝手な話だよね)
彼女がどうしたか。ある女性看護師に頼み込んで「母親として私の代わりに顔出しをして、お金は払うから」ふざけんな!
日に日に女の子の状態は悪化して、とうとう天に召された。
彼女は突然思い出したように「しまった!」「保険かけるの忘れてた」
329 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:21:46.92 ID:yeRqDiJO0.net
病院の怖い話と怖くない話 91.風が語りかけます
このタイトルの意味が分かれば埼玉県民。知りたい方は検索して下さい。
最近のビルはどこもそうだけど、密閉性が高い。
特にA棟(旧本館)は一番新しい建物で、一階の玄関か裏口、後はB棟とC棟の連絡口くらいしか外とつながっていない。
なので2階より上はエアコン以外に空気が動く事はないはずなのに、時々風が通る。
そういう時はどこかでご臨終になっている。
330 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:22:08.42 ID:yeRqDiJO0.net
病院の怖い話と怖くない話 92.高校野球
学校の夏休み期間に高校生が入院してきた。
症状は頭痛、吐き気、腹痛。
でも検査をしても数値的には特に目立ったところはない。が、どうしても入院したいと言う。
まあしばらく様子を見る事にしたんだけど、見ていると特に辛そうな感じはない。
日中は休憩室で宿題をしていて、時々テレビを見上げる。
テレビはずっと高校野球中継なんだけど、特に見入っているという風でもない。
ちょっと思い当たる事があり、聞いた。
「もしかして、仮病?」
押し黙っていたのだけれど、「秘密にしておいてくれますか?」
少年は地元の高校で、その地域には甲子園の常連校があるのだけれど、なんと彼の高校が20何年ぶりに甲子園進出を勝ち取ったらしい。
「すごい盛り上がりで、野球部員がいる組の生徒は応援に行くのが当然、というプレッシャーがあって」
「野球が弱い高校だと思ったから行ったのに」
彼女には痛いほど気持ちが分かったそう。
実は彼女の母校がその甲子園の常連校で、
「吹奏楽部だったから、メンバーでもないのに参加を強制させられた」「楽器をやりたかったから入ったのに、1年でやめた」
彼の高校の試合の日、また休憩室で宿題をしている。
テレビを見るとちょうど8回裏が終わったところ、2対1で彼の高校が負けている。
9回表を抑えられれば敗戦。
だが期待に反して2塁打の後バントが成功して1アウト3塁。「ちっ」小さく聞こえた。
次のバッターは3番、ホームランでも出れば逆転。
が、一球目を大きくスイングした瞬間、なんとバットが折れた。
バランスを崩したバッターは折れたバットの上に倒れこむように転んでしまった。そのまま動かない。
「ふふ...」聞こえたような気がして見ると、宿題に目を落としている。
「皆が皆、野球が好きってわけじゃないよね」彼女は言う「ああいう熱狂した雰囲気ってちょっと怖い」
少年は次の日退院した。
331 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:23:16.01 ID:yeRqDiJO0.net
病院の怖い話と怖くない話 93.遺品
入院患者が亡くなられた時、遺品はもちろん家族に引き取ってもらう。
ていうてもコップだの歯ブラシだのそういう日用品なので、「そっちで処分して下さい」と言われる事もままある。
入院時の契約書にも「私物を何カ月以上放置された場合~」みたいな一文があるので大抵は捨てるのね。(余計な作業増やしやがって)
ただ勿体ないのが"パジャマ"。何着も持ち込んでるので(なんとかならんかなあ)と捨てるたびに思うそう。
あるご遺族、お葬式の事を済ませると「後は全部捨てておいて下さい」
ダンボールに詰め込んでとりあえずそこに置いておいたんだけど、次の朝病室に入ると布団がまるで人が寝ているように膨らんでいる。
で、ぺちゃーっと平らになった。
朝だし他の患者さんもいるので「怖くなんかない」と布団をめくると、パジャマがちょうど寝返りをうったような形で横たわっていたそうだ。
332 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:23:52.15 ID:yeRqDiJO0.net
病院の怖い話と怖くない話 94.きのこたけのこ戦争
知ってる人には有名な言葉。
隣接したベッドの2人のおばあさん、コンビニで駄菓子を買っておやつに食べる。
ちゃんと夕食も食べてるのでその程度の事はうるさく言わない。
で、窓側のおばあさんはいっつも"きのこの山"、隣のおばあさんは"たけのこの里"。
検査とかに行くといつも愚痴を聞かされる。
「キノコなんて菌よ、菌」「気が知れないわ」
「たけのこなんて根っ子よ」「ごぼうでも食べてりゃいいのよ」
関わり合いになりたくないので適当に聞き流していたら、とうとう直接対決が始まった。
「あんた総入れ歯なのによくあんな硬いの食べる気になるわね」
「分かってないわね、チョコを口の中で溶かして残りの味を楽しみつつ適度に柔らかくなったらさくさく頂くのよ」「たけのこなんてすぐにどろどろになって、ああ気持ち悪い」
「昨日のテレビでやってたでしょ!世間的には圧倒的にたけのこ好きが多いのよ」
ある日、きのこばあさんが恐るべき行動に出た。
下のコンビニのたけのこを全部買い占めてしまったのだ。これはひどい、オカルトより怖い。
当然たけのこばあさんも反撃に出て、コンビニの棚の一画が空白になるという異常事態となった。
でも双方自分では食べないので持て余す。
たけのこばあさんの方はたまにお見舞いが来るのでお土産にあげていた。「なんでおばあちゃんこんなに"きのこの山"買うの?」
きのこばあさんはあんましお見舞いがなかったので看護師さんに配っていた。「こんなまずいもの買っちゃって、始末してくれない?」
「じゃあなんで買ったんですか?」
双方引き出しの中に大量のお菓子が入っているのに自分は食べないので悔しそうにしてた。
そのうち、全然お見舞いが来ないきのこばあさんの事をたけのこばあさんがちらちら気にしだして、
ある朝きのこばあさんのサイドテーブルに"きのこの山"がちょこんと乗っていた。
きのこばあさんはそれをじっと見つめていて、次の朝たけのこばあさんのテーブルに"たけのこの里"が2個乗っていた。
その後、休憩所のテーブルでお菓子を前にして毒舌合戦をする、ふたりのおばあさんの姿がたびたび見られるそうだ。
333 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:24:45.64 ID:yeRqDiJO0.net
病院の怖い話と怖くない話 95.虫めでる姫
名前を出すのも嫌なあの黒い虫、仮にGとしておく。(仮になってない)
病院は衛生管理きっちりしてるんで見るはずないのに、ごくたまに見かける。もちろんすぐ始末するけど。
かなり個性的な(変わった)同僚がいて、「病院でアシダカグモを飼わない?」
「はあ?」
彼女の実家は古い一軒家で隙間だらけなのでGはいくらでもいたはずなのに「だいたい、見たのはひと夏でせいぜい3匹くらい」
なんでかと言うと「アシダカがいてくれたから」
「にしてもあんな手のひらくらいあるでかい蜘蛛、そもそも無理っしょ」
「そんな事ないよ」「夜中にトイレに起きて電気付けたら枕元にいたりする」
「ギャーーー!」
「可愛いよ」「Gと違ってすぐに逃げるから、さわりたくても触らせてもらえない」
お前はナウシカか?もののけ姫か?
何故か彼女、だんだん怒り出して「じゃああなたカニ食べないの?あれ蜘蛛の仲間なんだよ」
じゃあお前は蜘蛛食べてるんか。
「仕事は真面目で性格も良いんだけど」「生理的な嫌悪感覚っていうのがちょっと変わってると言うか」
同僚曰く「あとハエトリグモも可愛いよ」知るか!
334 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:25:10.77 ID:yeRqDiJO0.net
病院の怖い話と怖くない話 96.NHKの怪異
前にも書いたと思うけど、6人部屋のテレビはカードがないと見られない。
ある日、患者さんがリモコンを手に取ったんだけど、ふと見るとカードがささっていない。
「それじゃ見れませんよ」言おうとしたんだけど、普通にニュースを見始めた。
え?
「ちょっといいですか」リモコンを借りて操作した。
あまりせこい事はしたくないけれど、機械が壊れているなら対処しないといけない。
でもチャンネルを変えても他の局はホワイトノイズの画面。NHKだけ映る。
首をひねっていると
「あたしちゃんと受信料払ってますよ」
いやいや、それは家の方の受信料でしょ。
彼女曰く「本来ならNHKの方がスクランブルかかるべきなのに」
突っ込みどころはそこじゃないだろ。
335 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:25:49.63 ID:yeRqDiJO0.net
病院の怖い話と怖くない話 97.布団とベッド
ある入院患者さん
「和室の病室ってないですか」
聞くと、家では和室に布団で寝ているので、ベッドだと天井との距離感が違って不安になるらしい。
もちろん和室なんてないので可哀そうだけど我慢してもらうしかなかった。
「考えてみればなんで和室ないんだろうね」
ある日の朝、その患者さんが頭をこんこん叩いている。
「痛むんですか?」
「いえ、変な夢を見て」
寝ようとしていたらだんだん天井が近づいてきて、気が付くと屋上にいたと。
で、横に布団があったのでそこに入って寝直した。
彼女曰く「ただの夢だとは思うんだけど」
「布団の上に鳥のフンみたいなのが落ちてた」
病院の怖い話と怖くない話 98.火傷
ひどい全身火傷で担ぎ込まれた少年。
すぐに対処を始めたんだけど、救急隊員曰く「なんかおかしい」
「布団の内側は焦げていたんだけど、外側があんまり焦げてない」
「まるで身体の内側から火が出たみたい」
ちょっと不謹慎な事に島本和彦の絵柄でイメージが再生されてしまったと。
337 :病院の名無しさん:2019/08/15(木) 13:29:44.61 ID:yeRqDiJO0.net
病院の怖い話と怖くない話 99.飛蚊症
まだ若い男性患者さん。視界の縁に黒い虫が飛び回ってるそうなものが見えると言う。
明らかに飛蚊症。飛蚊症っていうのは大雑把に加齢か眼球の異常が原因。
視力検査では1.2と1.0で全然問題ない。
ただおかしいのは、「目を閉じると、よりはっきり見える」飛蚊症は光を見る事によって出る症状なので、瞬き程度ならともかく目を閉じた状態で長く続くのはおかしい。
本人の希望で検査入院してもらった。
イケメンでスタイルも良い男性で
「なんとかお近づきになれないかな」お前結婚してるだろ。
次の朝、目が真っ赤。
「眠れなかったんですか?」
まあ環境が変わればそういう事はある。
「いえ、飛んでる奴がだんだん集まりだして」「人の顔に見えてきたんです」
「ちょっといいですか」言って彼の瞳を開いて覗き込んでみたの。
眼球性の飛蚊症だと、瞳の中に濁りが見える場合があるから。
真っ赤に充血した目の中に、女の顔が白く浮き上がってこちらを見ていた。
370 :病院の名無しさん:2019/08/16(金) 07:38:41.61 ID:aMIo4xmW0.net
病院の怖い話と怖くない話 100、百物語
途中で気付いていた人居ましたが、これ百物語です。
百物語っていうのは、99話目で終わりにするっていうルールがありますからね。
実話にしろ創作にしろ百まで語ると本物が出てくるから。
で、色々批判もあるようでしたが個別の反論はしません。たぶんきりがないから。
100話を本日16日にしたのは今日が送り火の日だからです。
皆さんも失った大事な人の事を思って手を合わせましょう。
合掌。
で、ここで書いた話、ほとんど私の創作です。ただ看護師の知り合いがいるのは本当です。
彼女に読ませたら、ほとんどは鼻で笑うかたまに腹を抱えて笑ってました。
ただ、ある一作だけすごく真剣な表情で何度も読み返して、
「この話は差し替えた方が良い」って。
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