ほんのりと怖い話スレ 137
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1564090249/
248 :病院の名無しさん:2019/08/13(火) 19:32:10.60 ID:+oQq1wcM0.net
病院の怖い話と怖くない話 61.裁判官
なんか唐突なタイトルだな。
医者は白衣を着る。裁判官は黒衣を着る。
裁判官の方は有名な話だよね。"何色にも染まらない"って。
じゃあなんで医者は白衣を着るの?
汚れが目立つからまめに洗わないといけない、つまり清潔のイメージ。まあそれで概ね当たってる。
ただ"白"というのはスペクトル的に最も強い色、つまり邪な存在は白を避けるんだよね。
じゃあ裁判官は邪を引き寄せてるの?あ、なんか当たってる気がする。
249 :病院の名無しさん:2019/08/13(火) 19:32:42.37 ID:+oQq1wcM0.net
病院の怖い話と怖くない話 62.鏡
ある6人部屋で洗面所の鏡が時々割れるそうだ。
患者さんに聞いても、「音は聞こえたけど私は知らない」みたいな回答ばかり。
ある内科医に相談したら
「う~ん。そもそも入院室に鏡なんて必要なのかなあ」「日に日に老いていく自分の姿を見せられるわけでしょ」
「何か絵でも飾っておけばいいんじゃないかな」
確かにこれからデートって状態でもないし、鏡を使いたいならトイレに行けばいい。
それで、彼女の好きなハリウッド女優"ジェーン・シーモア"(かなり古い)の写真を、洗面の鏡の場所に張り付けたそうだ。
それからはトラブルは起こっていないし、苦情も来ていない。
病院の怖い話と怖くない話 63.幽霊
ようやくこのタイトルが出た。
彼女曰く、病院では意外にちゃんとした形での幽霊は見た事ないらしい。
「先輩からの受け売りなんだけど」言うには「幽霊でも、来たくない場所には来たくない」らしい。
「よっぽど腹に据えかねる事情があったり、個人的な恨みがある場合には姿を見せる」
幸い彼女はちゃんとした形の幽霊は見た事がないそうだ。
280 :病院の名無しさん :2019/08/14(水) 19:23:43.47 ID:u3f1DL3P0.net
連投するのは後2日だけなので大目に見て下さい。
病院の怖い話と怖くない話 65.祖母
彼女のおばあさんがかなりきつい性格だってらしくて、彼女のお母さんはずいぶん苦労したらしい。
おばあさんが亡くなったのは彼女が四歳くらいの時でほとんど覚えていないんだけど、ある病室の空きベッドで老婆を見たんだって。
「〇〇子、水回りの掃除はちゃんとやってるんだろうね」
○○子っていうのは彼女の母の名前。彼女は△△子。
「私は…△△子です」
「あらそう悪かったわね」
す~っと姿が消えたそうだ。
ようやく幽霊らしい話なのに全然怖くない。
病院の怖い話と怖くない話 66.黄昏時
夕方の日の落ちそうな時間を黄昏時って言うよね。
これは"誰そ彼"が語源で、近くに人が居るのは見えるんだけれど顔がよく見えないので誰だか分からないっていう事だそう。
あと、明け方は"かわたれ時"つ言って「彼は誰?」っていうんでこれも同じ意味。
(地方によって呼び方は違うけど。"君の名は"でも出てたよね)
看護師の仕事っていうのは勤務時間が不定期で時間間隔が狂う事があるらしい。
ちょっとうとうとして目が覚めたら時計が6時を指していて、それが午前なのか午後なのか分からなくなる事があるそうだ。そういう感覚が怖いと言っていた。
「いっそ真夜中の方がはっきり分かるから良い」って。
病院の怖い話と怖くない話 67.季節
「昔はエアコンなんて無かったから夏は暑かったし冬は寒かった」
と、最古参の師長の話。
「今は行き帰りの時に感じるだけで、病院に着いたら夏も冬も関係ない」
「患者さんの中には、『冷房がきつい』『暖房が熱い』とよく言われる」
ここまでが前置き。
その病院は深夜は通常の出入り口は閉鎖されてて出られないんだけど、ある時残業を終えて帰ろうとするとロビーでパジャマ姿の患者さんが外に向かおうとしている。
「え?」と思ってどうしたもんか見ていたら、ドアをすり抜けて出て行った。
「うわ!幽霊」びっくりしたんだけど、すぐに肩を抱えて戻って来た。
で、彼女と目が合ってばつが悪そうに姿を消したそうだ。
「たぶん、中がこんなにあったかいのに外があんなに寒いとは思わなかったんだね」
283 :病院の名無しさん:2019/08/14(水) 19:27:18.61 ID:u3f1DL3P0.net
病院の怖い話と怖くない話 70.後ろ髪
看護師さん(女性ね)は髪を後ろで束ねている場合が多い。
これは髪が邪魔になったり抜け毛が落ちたりしてはいけないという当然の配慮。
ベテランになるとお団子にしたりばっさりショートにしたりするんだけど、もうひとつ理由があるらしい。
時々後ろ髪を掴まれることがあるんだって。誰もいない場所で。
「私霊能者でもなんでもないんだけど」が彼女の口癖なんだけど、
びっくりして振り返ったら一瞬髪の毛にしがみついている赤ちゃんがちらっと見えたんだって。彼女は堕胎した事なんてないのに。
284 :病院の名無しさん:2019/08/14(水) 19:28:31.39 ID:u3f1DL3P0.net
病院の怖い話と怖くない話 73.朝の幽霊
「幽霊って夜だけ出るわけじゃない」「昼間は人が多いから目立たないだけ」
と、"自称、霊能者ではない"彼女が言う。
日勤の時はバス停と病院の間にある古い喫茶店で、モーニングを取るのがちょっとした楽しみなんだそうだ。
「おしぼりがちょっと匂うのを除けば、安いしお気に入り」
で、たびたびカウンター席の端におじさんが座ってる。何も食べずに。
店員さんも注文を取りにいかない。
なんとなく気にはなってたんだけど、店の人の家族かな?くらいに思っていた。
ある日、そのおじさんの隣に普通のサラリーマン風の人が座ってモーニングを注文した。
何か起きそうなわくわく感があってそれとなく見ていたら、出てきたコーヒーの湯気をおじさんがふう~って吸うのよね。満面の笑みで。
そしてす~っと姿を消した。
「よっぽどコーヒー好きだったんだね」
285 :病院の名無しさん:2019/08/14(水) 19:29:38.13 ID:u3f1DL3P0.net
病院の怖い話と怖くない話 74.老人ホーム
細かくは"特養"とか"介護"とか色々区分けはあるらしいけど。
「病院は老人ホームじゃないんだけど」彼女が言う。「たまにはそういう仕事もしなくちゃならない」
「特に老人が足を骨折して入って来た場合、あっという間にボケが進行する」
人間だけじゃなくどんな生物もそうだけど、動けなくなると基本的な生命力が衰退するらしい。
あるじーさん、自身も元医者で息子は外交官。
悠々自適の隠居生活だが趣味の登山で滑落して足を骨折、うちに搬送されてきた。
対応は息子嫁がしてたんだけど何となく"関わりたくない"的な雰囲気を横溢させてた。
お見舞いに来たのも彼女の知る限り2回だけ。
洗濯とかも全部業者任せ。
確かにそのじーさん、やたら態度のでかいやな患者で、診療の仕方にダメ出ししたり「こんな薬は知らんぞ!」とか、そりゃあんたの時代には無かったんでしょ。
退院の目途が立って家に電話入れたら留守電。
次の日に高校生の孫が来て、じーさんに何か渡して直ぐに帰ろうとした所を捕まえて話を聞いた。
連絡が取れない事を言うと、父は赴任先のイタリア、母も父の世話のために同じくイタリア。
日本に居るのは自分だけ「部活があるので」逃げるように帰って行った。
渡していったものをさりげなく確認すると、保険証とかおくすり手帳とか、あと大量の現金。
いくら金があっても連絡の取れる親族いないと困るんですけど。
退院の日が過ぎてだいぶん経っても連絡は取れない。じーさんは日に日にぼけていく。
こんなぼけ老人から金を取ったら後で、「払った払わない」のトラブルになるのは目に見えているのでお金の事は棚に上げていたんだけど事務長も頭を抱えていた。
ある日突然息子嫁が人を連れて現れ、迷惑かけた事への形式的な謝罪とその人物を紹介された。
名刺を見ると"ケアマネージメント"なんちゃら、民間企業らしい。
「後はこの方にお任せしてありますので」あっという間に帰って行った。
どうやらその会社を通して老人ホームを探していて、目途が立ったらしい。
後は比較的スムーズに事務処理が進み、じーさんはその人物と共に老人ホームに移っていった。
「需要のある所にはビジネスチャンスあるのね。良いスーツ着てたわ」
286 :病院の名無しさん:2019/08/14(水) 19:30:45.32 ID:u3f1DL3P0.net
病院の怖い話と怖くない話 77.5億年ボタン
一部のネットで一時はやった質問系ネタ。
目のまえにボタンがあってこれを押すと100万円貰える。ただし、5億年間何もない空間で過ごさないといけない。(餓死とかは無い)
5億年経過すると現時点に戻り、その間の記憶は全て消えている。ってやつ。
「絶対無理」彼女は言う「5年でも無理、5日なら考えるけど」
交通事故にあった入院患者さん、いわゆる植物状態になってしまって、脳波はあるんだけど意識が戻らない。
数日後ナースコールが鳴って駆け付けると、件の患者さんが目を開いてぼろぼろ泣いている。
「ここは……ここですよね」何を言っとるんじゃ。意識が混濁しているのか?何にせよ意識が戻って良かった。
話を聞くと、衝撃を受けたような気がした後真っ白な空間に放り込まれたそうだ。
彷徨い歩いても何もない。疲れもしないし腹も空かないし眠くもならない。
「アルフォンス(ハガレンね)って、ああいう気分だったんかなあ」「でもあっちにはストーリーがあった分救われるよ」
時間の感覚もおかしくなり気が狂いそうになった頃、突然肩を叩かれてびっくりして振り返ると知らないおっさんがいる。
「悪かったなあ」「わしのせいやからわしが代わるわ」
そうして目が覚めたんだって。
288 :病院の名無しさん:2019/08/14(水) 19:32:10.35 ID:u3f1DL3P0.net
病院の怖い話と怖くない話 79.回転寿司の幽霊
魚が化けて出てくる話ではないです。
旦那と休みが合わなかった完全オフの日、回転寿司でビールをちびちびやりながら寿司をつまむというのが息抜きのひとつ。
一人客なのでカウンター席優先なんだけど、その店、回転レーンとその上の注文配送レーンの間に隙間があって向こうが見えるのね。
で、向こうはテーブル席なので食べてるなら横顔しか見えないはずなのに、一人の客(たぶん女性)がずっとこっちを向いてるの。
回転レーンを見張ってるのかもしれないけど、それなら注文すればいいのに、不思議に思ってたんだけどだんだん気味悪くなってきた。
幸いその隙間は顔の下半分くらいしか見えないので目が合うことはないんだけど、なんとその女性がゆっくりと首を傾げ始めた。
うわ!と視線を反らした瞬間「ピコーン、ピコーン」
「心臓が止まるかと思った」
鳴ったのは「注文した商品が届きました」のアラーム音。
見ると彼女の嫌いな納豆巻き。
そんなもの注文していないし注文履歴を確認してもそんな注文はない。
店員さんに下げて貰ったんだけど、気が付くと向こうの女性はいなくなっていた。
「幽霊にしてはずいぶん陰湿な嫌がらせだよね」陰湿じゃない幽霊っているんか?
あとこれ病院全く関係ない。
289 :病院の名無しさん:2019/08/14(水) 19:35:57.00 ID:u3f1DL3P0.net
病院の怖い話と怖くない話 80.マイ調味料
ある入院患者さん、引き出しに醤油とアジシオを隠していたのを偶然見つけた。
病院食の味が薄い話は前にも触れたと思うけど、栄養士が管理して出してるメニューなので勝手な事をされては困る。
しかも骨折とかの怪我系ならともかく内蔵系の患者さんだったし。
取り上げるわけにもゆかないし、師長とも相談して"退院まで預かる"という事で話をした。
「ならさあ、うま味とかでちゃんと味を補ってよ」ごもっとも。
「それに取り上げたところで下のコンビニでまた買ってくるだけだよ、これって資源の無駄じゃない?」
ぐうの音もありません。
栄養士さんにも相談したんだけど、特別扱いはできない、で門前払い。
悩んだ末、栄養士さんを連れて"高血圧がどれほど健康に悪いか"の講義を病室でしてもらったりしたんだけど、
「じゃあ塩抜きをしたら何歳まで生きれるって保証できるの?」
「そもそも人間の身体なんて個体差あるんだから、一律の基準で管理するって考えに無理ないですか?」
「別に特別扱いを要求してるんじゃなくて、自分で味の調整をしてるだけなんですけど」
「ここの食事だけ食べていて様態が悪化したら、その時は医療過誤で告訴しても良いって事ですね」
これだけ書くとすごくいやな患者さんに見えるかもしれないけれど、これ以外の事ではおとなしくて協力的なの。
ただ納得できない事にはすごく反発する。
醤油とアジシオの件は保留にしたんだけど、その患者さん、ハンストを始めてしまった。
「自分自身も納得できていない状況でここの食事を取る事はできない」
まあまだ若い患者さんなので1日2日食べなくても死にはしないだろうけど、患者さんと栄養士さんの板挟みで非常に悩ましい立場になった。
290 :病院の名無しさん:2019/08/14(水) 19:37:33.55 ID:u3f1DL3P0.net
長くて弾かれた。80話の続き
ところが、ある夕食のメニューを見て目を輝かせた。
「これ、食べていいんですか?」
お、やっと音を上げたか
「本当に食べていいんですね?」
彼はおかずのエビチリだけを食べ、そして、ほどなくして猛烈に苦しみだした。
駆け付けてみるとチアノーゼの症状が出始めている。緊急手術。
麻酔から覚めて「エビアレルギーがあるならなんで先に言わないんですか!」問い詰めると、
「問診票には書きましたよ」
後で確認したら確かに記述があった。これは明らかな栄養士のミスだ。
「病院で管理している食事だから、アレルギーの対策がなされていて大丈夫だと判断しました」
「さて、退院したら告訴の準備をします。それともここで殺しますか?」
ぐうの音も出ない。
結局事務長さんと栄養士さんを連れてきて平謝りに謝り、入院費全額免除で示談にしてもらった。
病室も個室に移しVIP待遇。
「自分の命を賭けの対象にするってある意味怖いわ。入院費程度で済んでよかった」
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