∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part58∧∧(※実質Part59)
『大学の裏手の山』
677 :本当にあった怖い名無し:2012/01/27(金) 14:02:10.47 ID:ULlUCM7OO
昔大学の裏手の山で、のんびり煙草をふかすのが日課だった頃がある。
学生のざわつく声や車道の車の音を遠くに聞いて、木の擦れる音や鳥の声を楽しみながら。
ある日、煙草も吸い終わってふと大学側を見下ろすと、平日の昼間だというのに講内には誰も居なくなっていた。
同時に車道の音もざわつきも、鳥の声すらしなくなった。
風は止んで木も揺れない、時間の隙間みたいな場所だったよ。
しばらく呆けていると、「カァ」って甲高い鴉の鳴き声が上がった。
それを合図にしたのか、せき止めた水が溢れるように一斉にいろんな音が耳に飛び込んできて、
その日は一日中、惚けたようにそこに居た。
その絶望的な静寂と、眩暈のするような解放をもう一度味わいたくて、
在学中何度もそこに足を運んだが、結局二度とと同じ体験をする事はなかった。
『山の中でみつけたお守り』
769 :本当にあった怖い名無し:2012/02/02(木) 15:41:01.77 ID:cR37mHE4O
山には色んな物が捨てられている。
昔、山の中でみつけた小さなお守りは、
しゃんとした赤地に綺麗な金糸の刺繍がしてあって、泥土もつかず雨露にも濡れず、きらきら誘うように川辺に落ちていた。
退屈しのぎの夜の散歩中、そんな物をみつけて触れるなと言うのは到底無理な話で、
吸い寄せられるようにそれに手を伸ばす…その瞬間から、私の意識は翌日に飛んでいる。
自分を探しに来た婆さんに頬を叩かれて川辺で目を覚ますと、
既に日は登っていて、その時になって自分が何時間もその場で気絶していたのだとようやく気付いた。
帰り際視界の隅に見えたのは、静かに川を流れていくあのお守りで、
不法投棄や動物の骨なんかよりよっぽど得体の知れないものが山には捨ててあるんだな、
なんて、どうでも良いことを考えたのを覚えている。」
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