∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part57∧∧(※実質Part58)
526 :本当にあった怖い名無し:2011/10/31(月) 23:37:40.44 ID:ph4nWGQP0
十和田湖温泉郷の奥に、有名な蔦温泉の蔦七沼があります。
七つの沼のうち、赤沼だけがひとつ離れた高台にあり、若干山道を歩く必要があります。
何時の頃からか、この赤沼の沼尻には、白骨化した一本の奇妙な倒木が立っており、
その姿は湖面に二本足で起立する名も知れぬ怪物のようで、存在感があります。
ある秋、写真撮影のため、夜明けの一時前に仙人橋から赤沼に入りました。
熊笹の中から狭い沼尻に飛び出すと、突然目の前に件の怪物が現れます。
その時、奴の影が動いているように見えハッとしました。
よく見ると先客が一人、影の所で怪しむように此方を伺っています。まぁ怪しいですよね確かに。
話してみると同じく撮影目的との事で、しばしカメラ談義に花が咲きました。
その内、男性はちょっと黙り込んで「この枯れ木は何時からあるんでしょう」と尋ねてきました。
「よく知りませんが、二、三年前にはあったようです」「…そうですか」
まもなく日が昇り、湖面に映る赤倉岳の紅葉をひとしきり撮った後、男性と別れました。
別れ際に男がこんな話をしました。
実は先日の台風の前に、蔦温泉から松森を経由して仙人橋に降りたのだそうです。
その際ここ沼尻を通過した辺りで日が暮れてしまいました。
薄明の中、沼尻にいた女性に挨拶しようとしましたが、なんとなくはばかられたので、そのまま通過したそうです。
で、今日来てみると、女のいた水辺に、先日はなかった奇妙な倒木があったので、
驚いて眺めていると、ザワザワと音がして私が現れたという事でした。
最初、台風で倒れたと思ったそうですが、一見して古いので、見間違えたのだろうと笑っていました。
男と別れた後、しばらく倒木を眺めていましたが、
誰もいない湖畔に、二人?だけで居るのが不安になったので、早々に退散することに。
松森へ向けて湖畔を巻くように登っていく間、木々の間から沼尻が見えます。
が、変なものが見えると嫌なので、振り向くのは止めておきましたよ。
う~ん、まぁ単にこの男性に一杯かつがれただけなのかも知れません。
ただ、何がはばかられたと言うと、ちょっと古風ないでたちの女性に見えたのだそうな。
それ以来、赤沼には行っていないので、奴?がまだいるかは不明です。(多分いるはず)
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