∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part54∧∧
『大きな音がした』
648 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2011/05/12(木) 20:33:35.43 ID:b+9aZD8L0
知り合いの話。
棚田にトラクターを出そうと、山裾のガレージを開けて作業していた。
いきなり、外から大きな音がした。
何かが重い物同士が衝突したかのような、そんな音。
表に出てみると入り口すぐ傍の地面に、大きな氷の塊がめり込んでいた。
大きさは彼が一抱えするほどもあったらしい。
状況からして、この氷塊はつい今し方、天から降ってきたものと思われた。
その時、氷の中に何かが閉じこめられているのに気が付いた。
歪んで見えるのではっきりしないが、何やら毛の生えた猿のような生き物みたい。
割ってみようかと考え、道具を取りにガレージに戻る。
農具を手に戻ってくると、氷は幻だったかのように消え失せていた。
地面には少し濡れた大きな凹みと、ひんやりした冷気が残されているだけだった。
『お供え物』
649 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2011/05/12(木) 20:34:25.69 ID:b+9aZD8L0
山仲間の話。
春先の山道を歩いていると、道の交わる所に小さな祠があった。
中にはお地蔵様が一体安置されており、餡ころ餅がその前の皿に入れられていた。
「こんな山奥で誰が供えた物だろう?」と不思議に思いながら、その場を後にした。
その日の午後、今度は山を下りながら、再び地蔵の前を通り過ぎた。
餡ころ餅が綺麗に失くなっている。
地蔵の姿に違和感を覚えて、足を止めた。
お地蔵様の口元が、餡子で少しばかり汚れていた。
しばし考えて、少しばかり残っていたバタークッキーをお地蔵様に供えたという。
「いや、甘党なのかなぁと思って」
手を合わせてから、山を下りたそうだ。
『鍾乳洞』
650 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2011/05/12(木) 20:36:06.25 ID:b+9aZD8L0
知り合いの話。
地元の山中に鍾乳洞があり、その奥には割と大きな地底湖も存在しているという。
真っ暗な上に深さもあるので、遊泳することは禁止されている。
ちょっと昔、そこで溺れた男子学生があった。
グループで洞窟に入り込み、勝手に泳いでいたものらしい。
溺れたのは一人だけだったが、捜索も空しく、ついに遺体は見つからなかった。
その後、おかしなことが起こり始めたという。
件の鍾乳洞からは小さな川が流れ出しているのだが、
毎年、事故が起こった時節になると、奥から黒い髪の毛がごっそり束になって流れてくるようになったそうだ。
「行方不明になった学生の髪なの?」と私が聞くと、知り合いは首を振って答えた。
「いや、その毛がどれも凄く長いんだ。
大体溺れたってヤツ、スポーツ刈りだったし」
かといって、誰かがわざわざ長髪を流しに来るとも思えない。
現在、鍾乳洞に近よる者は誰もいないそうだ。
次の記事:
『ホテルのクレーム』
前の記事:
『30㎞ぐらいの速度で走ってる軽自動車』『竹田~阿蘇の山中』