∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part54∧∧
『炭焼き』
88 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2011/04/18(月) 20:24:14.68 ID:90R4Xh7N0
仕事仲間の話。
山奥の実家に里帰りした折、義父の炭焼きを手伝うことにした。
幼い息子も行きたがったので、連れていくことにした。
義父は大層喜んだが、一つだけ妙なことを言う。
「今夜遅く、日付の変わる頃合には焼き小屋の外に出られないから。
トイレは早めに済ませておくか、我慢しろ」
「どうしてですか」と問えば「今日はそういう日だから」としか答えない。
興味を覚え、深夜まで起きていたが、特に変わったことは何も生じなかった。
少し残念に思いながら眠りについたのだという。
しかし翌朝、息子がこんなことを口にする。
「昨日の夜はお外ですっごい音がしてたね。象でも通ったのかな?」
「象は日本にいないし、大体が昨晩そんな音はしなかったぞ」
彼はそう嗜めたが、息子は頑なに、大きな足音が聞こえたと言い張る。
義父は「ほう、あれが聞こえたか」と少し感心したような声を上げた。
「僕には何も聞こえませんでしたが」と彼が困惑しながら尋ねると、
「まぁ見えたり聞こえたりしない方が良いかもしれん」とだけ返す義父。
大きくなった今も時々、息子はあの夜の話をする。
「あの音、親父だけ聞こえなかったんだよな」と嬉しそうに。
それを聞く度、何故か悔しくなるのだそうだ。
『足音』
89 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2011/04/18(月) 20:25:54.41 ID:90R4Xh7N0
友人の話。
家の裏山に分け入っていると、背後から足音が聞こえてきた。
誰だろうと振り向いたが、近くに人の姿はない。
立ち止まっている彼女の横を、そのまま足音だけが通り過ぎていった。
微かにお香を炊いた匂いがしたそうだ。
「家の山にはオコウさんが住んでるって、昔から聞かされているんだ。
オコウさんが何かは伝わってないんだけど、もしかしたらアレだったのかもね」
大したことでもない様子で彼女はそう言っていた。
『小さな古墳』
90 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2011/04/18(月) 20:26:42.05 ID:90R4Xh7N0
郷土史家の話。
地元の山中に、小さな古墳があるのだという。
古跡と言っても、こんもりとした土山から大きな石が幾つか顔を覗かせているだけで、
一見ではそれと気が付かないような代物らしい。
そこに近よると、すぐ耳元で声がすることがある。
「ふあ~~あ」と誰かが欠伸する声が。
地元の人はそこを欠伸塚と呼んで、近よることなく避けているそうだ。
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