∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part53∧∧
847 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2011/04/12(火) 20:43:58.45 ID:EEPyd0Mt0
仕事仲間の話。
急な現地調査の仕事が入り、山奥の町まで出掛けた。
無事に業務を終えた彼は、町外れの川辺を散策していた。
季節は春。
川岸には桜が多く植えられていて、非常に美しい風景を現出させている。
平日の昼前ということもあってか、彼の他は誰もいない。
その時、誰かが鼻歌を歌っているのが聞こえた。声のする方に目を凝らす。
向こう岸の背高い繁みの中から、女の頭が覗いていた。
桜を見上げる髪の長い横顔が、歌の調子に合わせて、軽く左右に揺れている。
呆っとそちらを眺めていると、女の頭が繁みよりズルッと抜け出た。
しかし首の下に続く身体が見当たらない。
ただ、細長い首だけが葦の中から伸び出して、先の頭を支えている。
首の色も肌色でなく黒っぽい。
よくよく見ると、蒼黒い首の背が光を反射しているような・・・え、鱗?
それ以上まじまじと見るような失礼はせず、気取られないようにその場から立ち去ったそうだ。
848 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2011/04/12(火) 20:44:51.37 ID:EEPyd0Mt0
昔馴染みの話。
裏山の手入れをしていた時のこと。
通い慣れた踏み分け道を歩いていると、見覚えのない木が目に入った。
幹の色が墨を流したかのように真っ黒だ。
「あんな木がここいら辺にあったっけ?」
不審に思って近よってみた。
木の幹が全面、蛇のような細かい鱗で覆われていた。
それが遠目に黒色に見えていたらしい。
それ以上詳しく見ることはせず、その場を後にしたという。
後日その付近を通り掛かると、鱗の生えた木は無くなっていたそうだ。
849 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2011/04/12(火) 20:45:42.66 ID:EEPyd0Mt0
知り合いの話。
山で猟をしている時に、腐臭を嗅いだ。
臭いを辿っていくと、猪の死骸に行き着いたのだという。
骸はズタズタに引き裂かれ、辺り一面に食い千切られた肉片が飛び散っていた。
痕跡から見るに、かなり巨大な鉤爪か牙を持った生き物の仕業と思われる。
その周りの地面に煌めく物が幾つも落ちていた。
拾い上げてみると、これまた巨大な鱗だった。
見たこともない光沢と模様が入っている。
何が猪を襲ったのかは結局わからず、その場を後にした。
手近の沢で身に付いた臭いを洗い流して山を下りた。
その後しばらくは、その山の周辺を避けたのだそうだ。
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