∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part52∧∧
『神社に肝試し』
733 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2011/02/18(金) 19:23:58 ID:A7xItZeS0
同級生の話。
少年時代、一人で夜中の神社に肝試しに出向いたのだという。
そこの神社は町と山の境界に建っており、そこから奥はもう山の領域だ。
長い石段を半分程上った辺りで、軽い音が上から転がり落ちてきた。
懐中電灯の灯りの中、子供用の靴が片方だけ、彼の真横を落ちていった。
そんな勢いが付いている訳でもないのに、ただの一度も段に引っ掛かることなく、実に滑らかに下方の暗がりへと消えていく。
立ち止まってみたが、上から落とし主が下りてくる気配は一向にない。
急に怖くなった。
この上で、靴を落とした何かがじっと待っている。闇の中で。
一度そう考えてしまうと、もうそれ以上登ることは出来なかった。
走り出すのも恐ろしく、ゆっくりゆっくり引き返した。
一番下まで下りてみたが、先に落ちた筈の靴は、何処にも見当たらなかったという。
『古井戸』
734 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2011/02/18(金) 19:26:01 ID:A7xItZeS0
友人の話。
彼の家の裏山には、小さいながらも綺麗な沢があり、釣りが楽しめるのだという。
沢に向かう山の中腹に、家の者もいつ誰が作ったのかわからない古井戸がある。
コンクリート製の井筒なので、そう古い物でもないのだろうと思われるのだが。
井戸の側を通る度、その重い蓋がズレているのが見えるのだそうだ。
家の者は誰も触っていないというのに、いつもいつも違う位置に蓋は動いている。
気持ち悪がって、近付こうとする家人はいない。
ある時、いつものように竿を担いでその横を通り過ぎると、石を擦るような音がした。
目をやると、ズズッズズッと、蓋が独りでにその位置を滑らせていた。
慌てて引き返し、その日はもう山に入らなかった。
井戸は今もそこにそのまま、山に張り付くように鎮座しているそうだ。
『三日借りるぞ』
735 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2011/02/18(金) 19:28:04 ID:A7xItZeS0
知り合いの話。
山で仕事をしていると、何処からともなく声が聞こえた。
「三日借りるぞ」
何のことだかまったくわからない。
不思議なこともあるもんだと、その日はそこで山を下りた。
翌日作業場へ登ると、隅の方にびっしりと茸のような物が生えていた。
何となく手を触れるのが躊躇われ、そのままにして仕事を終わらせた。
更に次の日、色も鮮やかな茸モドキは、目を見張る早さで成長していた。
三日目になると、茸モドキは伯父の膝高まで大きくなっていたそうだ。
そして四日目、怪しげな茸は綺麗さっぱり消え失せ、場は元通りになっていた。
・・・なるほど、確かに三日だけ借りると言っていたな。
しかし一体誰が、何のために、作業場を使っていったのだろう?
その後声は聞こえていないが、いざという時のため、作業場は出来るだけ綺麗に保っているのだという。
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