∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part51∧∧
『棚田』
190 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2010/10/06(水) 20:00:34 ID:w7PXzX4g0
知り合いの話。
彼の実家のある山には、一風変わった物の怪が出ていたのだという。
「あの辺り山の斜面なんて、どこもかしこも棚田になっているんだけどな。
そこに馬が出るっていうんだ。
夕暮れ時、畦道をぽつねん歩いていると、いきなり後ろから馬の嘶きが聞こえる。
振り返ると水を張った田圃の中から、馬の首だけが伸び上がってるんだと。
胴体は泥の下・・・と言っても、でかい馬が潜れるだけの深さなんて無いんだけど。
馬ってのは笑うと妙に人間臭い顔になるんだけど、こいつもそうらしい。
人を小馬鹿にしたような表情で、ブルルルル・・・って笑うんだとさ」
「デンバとか呼ばれてた。田の馬とでも書くんだろうな。
こいつに出くわすと、しばらく水に近よるなって言われてた。
引き摺り込まれるとかどうとか。
面は馬なのに、やるこたぁ河童と似たようなモンだね」
「芸が無いよなぁ」
彼は最後にそう付け加えた。
『紅葉谷』
191 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2010/10/06(水) 20:02:03 ID:w7PXzX4g0
友人の話。
ある秋の日、思い立って山奥の紅葉谷へ一人出掛けた。
平日だったこともあってか人っ子一人いない。
足を止め秋の風情を満喫していると、紅く染まった葉が一枚、カサリと頭の上に落ちてきた。
その後も彼が足を止める度に、決まって紅葉が一枚だけ、頭の上に落ちてくる。
まるで誰かが彼を狙っているかの如く、正確に。
何度も頭上を確認したが、紅い葉以外何も見えない。
気味が悪くなったので、早々に退散したのだという。
『竹薮』
192 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2010/10/06(水) 20:03:37 ID:w7PXzX4g0
知り合いの話。
彼の親戚の山には深い竹薮があって、毎年かなりの量を切り出して処分している。
刈るのを手伝っていたある日のこと。
お昼に弁当を食べた後、気持ち良くなって昼寝をしてしまった。
どれくらい寝たのだろうか、誰かの声で目を覚まされた。
「うおーぃ。ここで寝ちゃいかんぞぅ」
その日山に入っていたのは彼一人だけの筈。
驚いて身を起こしたが、周りの青竹の中には、誰の姿も確認できなかった。
山を下りて親戚にこの話をしたところ、次のように言われた。
「家じゃ昔から“竹の翁”とか“竹爺”って呼んでる。
あそこで転寝すると、必ず起こしに来るんだって。
いやそれ以外何もしないんだけど、絶対に熟睡はさせてくれないんだ」
彼はその後も、二回ほど声に起こされているのだそうだ。
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