∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part50∧∧
418 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2010/08/02(月) 18:45:06 ID:lS27VaVR0
友人の話。
一人で夏山を縦走していた時のこと。
真夜中、何かの物音に目を覚まされた。
ぽちゃん ぽちゃん
水音のようだ。
深そうな水溜りに、小石が落ちているような、そんな音。
「水場はかなり離れているのに、ここまで音が聞こえるものかな?」
寝惚けながら考えていると、音はいきなりガサッという乾いたものに変わった。
膝まである草を掻き分けているかのような、そんな音。
・・・何かがガサガサと草を踏みながら、このテントの周りを巡っている・・・
息を殺して様子を伺っている内、やがて音は遠ざかって行った。
そしてまた、ぽちゃんと水が跳ねる音に変化する。
唐突に音は聞こえなくなった。
夜が明けるまで、それ以上とても眠れなかったという。
明るくなってから、辺りを散策してみた。
テントから少し離れた窪みで、古い石組みの筒が見つかった。
「井戸? こんな山の中に?」
419 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2010/08/02(月) 18:45:58 ID:lS27VaVR0
ふと嫌な想像が頭を過ぎる。
・・・昨晩、何かがここから這い上がって来、彼のテント周りをうろついた。
そして又この中に戻って、水の中に沈んでいった・・・
恐る恐る中を覗いてみた。
赤茶けた地肌が底の方に見える。
どう見ても、ずっと昔に枯れた井戸だった。
「俺があの夜聞いたのは、一体何の音だったんだろう?」
今でもそれが不思議なのだという。
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