∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part49∧∧
『竹を切っていた』
231 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2010/04/27(火) 21:28:52 ID:y3hAXWxV0
友人の話。
祖父の手伝いをして、実家の山にある竹林で竹を切っていた時のこと。
何本目かの竹を鋸で切り倒したところ、節の中から灰色の影が飛び出した。
そいつは地面に飛び降りると、そのまま山の奥へ走り去った。
あまりにも素早かったのではっきりとは確認できなかったが、二本の足で走る小さな人型に見えたそうだ。
驚いている彼に祖父が笑いかけた。
「かぐや姫を見つけたか。運が良いな」
聞いてみると、ここの竹の中には、時たま何かが潜んでいるのだという。
竹から出てくるから『かぐや姫』と冗談めかして呼んでいるらしい。
「見たところで別に、良いことも悪いこともないから気にすんな」
祖父はそう言って、仕事を続けるよう彼に促した。
『太鼓』
232 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2010/04/27(火) 21:30:57 ID:y3hAXWxV0
知り合いの話。
祭りの準備で、山中の神社から太鼓を借りることにした。
世話会の仲間二人で引き取りに行ったのだが、かなり大きな太鼓で、倉庫から出すのが一苦労だったという。
軽トラの荷台に乗せて一息ついていると、いきなり太鼓が鳴った。
ドンッ!と一回だけ、しっかり響く音を出して。
びっくりしていると、神主さんが笑いながら言った。
「どうやら君たちは気に入られたらしいね」
「僕らが一体、誰に気に入られたっていうんですか?」と聞き返したが、
「太鼓だよ」と返事はそれだけ。
ニコニコとした笑顔を見ていると、なぜかそれ以上は詳しく聞けなかった。
取り敢えず祭りが終わって神社に返すまで、丁寧大切にその太鼓を扱ったのだという。
『貯水池で釣り』
233 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2010/04/27(火) 21:32:43 ID:y3hAXWxV0
友人の話。
山中の貯水池で釣りを楽しんでいた。
ウェーダーと浮き輪、ライフジャケットを身に付け、陸路では行けない淵に回り込んで竿を振る。
他の釣り人は誰もいない。
その時突然、視界にスゥッと滑り込んできた物があった。
水面を滑るように移動してきた黒い何かが、目と鼻の先に現れる。
アメンボのように見えた。大きさは彼が飼っていた秋田犬ほどもあったが。
しばし睨み合った後、水馬はフイッと別の方角へ滑って行った。
大急ぎで逃げ出したが、水から上がるまでは鳥肌が治まらなかったという。
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