∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part48∧∧
『大きな蝸牛』
774 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2010/02/11(木) 18:21:08 ID:upg1Ua7H0
知り合いの話。
奥山でフィールドワークしている時に、大きな蝸牛を見つけた。
彼の家で飼っていた猫ほどもあったという。
これは新種かと思い、捕まえようと手を伸ばした。
すると殻の口から、尖った毛むくじゃらの顔が突き出された。
鼬によく似ていたらしい。
そのままずるりと細長い身体を引き摺りだすと、そいつは足早に藪の中へ姿を消した。
蝸牛の殻を背負ったままで。
まるで、殻も鼬の体の一部のように見えた。
後に里の実家でこの話をしたところ、祖母からこう言われたそうだ。
「殻付きの鼬を見たって? それはクダって生き物だね。
係わり合いにならない方が良いよ、次からは無視することだね」
『窪地』
775 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2010/02/11(木) 18:21:52 ID:upg1Ua7H0
知り合いの話。
地元の山に、ちょっと変わった謂われを持つ窪地があるのだという。
一見は普通の窪みにしか見えず、別に変わったところがある訳ではない。
ただ雨水等が溜まらないよう、古いがしっかりとした側溝が付けられている。
人が来ることもない荒れた窪地に、なぜ側溝が整備されているのか。
言い伝え曰く、ここに水が溜まると大蛇が姿を現すからなのだと。
蛇と言っても普通の蛇でなく、身体のあちらこちらに人の頭が付いているという異形の姿だ。
ヤガシラと呼ばれていたらしい。
八頭という字を当てると聞いた。
人を襲ったことはないらしいが、これが現れると疫病が流行ると伝えられていて、
それで江戸時代の終わりに窪みの縁を切るよう、溝が設けられたそうだ。
今ではこの話を知っている者も少なくなった。
しかし誰の仕業か、いつ訪れても、溝は綺麗に手入れされているという。
『コシクダケ』
776 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2010/02/11(木) 18:22:45 ID:upg1Ua7H0
友人の話。
祖父と一緒に茸狩りに出掛けた時、見たことのない茸を見つけた。
採ろうと手を伸ばしたところを祖父が止める。
「それはコシクダケって呼ばれている茸だ。
大層美味いというが、食べると呼び名通り腰が抜けて動けなくなる。
捨て置け」
手を引いた彼を見ながら、こう付け加えた。
「聞いた話では、昔はこの山に住んでいた女が、人を捕るのに用いていたらしい。
迷い込んだ者にこれをご馳走して、逃げられなくなったところを捕まえていたんだと」
山に住んでいた女?
「山姥。大昔はこの山にも棲んでいたらしく、何人も獲られたって聞いた」
祖父は平然とそう答えたという。
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