∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part48∧∧
『山で昼寝をした』
721 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2010/02/03(水) 23:40:06 ID:7UW3t2BM0
知り合いの話。
山で仕事をしていて、少し転寝をしたのだという。
ほんの軽い昼寝のつもりだったのに、目を覚ますと既に日が傾いていた。
慌てて身を起こした時、身体の異変に気がついた。
ひどくだるい。
手足が重く、立ち上がろうとすると目が眩む。
息を整えているうち、脇腹が血で濡れているのに気が付いた。
服を捲り上げると、牛乳瓶の口ほどの大きさの痣が出来ている。
何かに強く吸い付かれたようで、皮膚が所々破れて血が滲んでいた。
「チスイヘビってのがあの山には出ると聞いたことがあったけど、
アレはそれに吸い付かれた痕だったのかいな?」
二人で焼肉を食べた際、彼はレバーを頬張りながらそんな話をしてくれた。
『アブリコ』
722 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2010/02/03(水) 23:41:33 ID:7UW3t2BM0
友人の話。
夕暮れ時に一人で「出る」と噂される峠道を歩いていた。
気がつくと、ズズッズズッと後を着けてくる音がある。
背後を見ると、ビッコを引いて歩いてくる小さな影が一つ。
そんなに暗くなってはいないのに、顔や服がどうにも見て取れない。
墨を流し込んだように、上から下まで真っ黒。
その時風向きが変わり、影の方から異臭が流れてきた。
肉が焦げたような、嫌な臭い。
なぜかとてつもなく怖くなり、走って逃げ出したという。
「日が暮れるとアブリコが出るから、あんな所へ行くものじゃない」
近所のお爺さんにそう言われたのだそうだ。
「アブリコか・・・“炙り子”とでも書くのかな?」
彼はそう言って首を傾げた。
『犬隠し』
723 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2010/02/03(水) 23:42:26 ID:7UW3t2BM0
知り合いの話。
彼は昔、犬を連れて猟をしていたという。
「気持ち悪い山があったよ。
山というか谷地なんだが、そこは絶対に犬を連れて行ってはいけないと言われていたんだ。
近よっただけで、犬は尻尾を足の間に入れて怖気づいてしまうらしい。
うっかり足を踏み入れようものなら、いつの間にか連れていた筈の犬がいなくなっている。
目を離した覚えもないのに、忽然と姿を消すらしい。
一旦尻尾を巻くと、もうその犬は駄目なんだそうだ。
何とか離さず家に連れ帰っても、その日の夜の内にいなくなってしまうんだとさ」
「あそこには犬に執着する何かがいると言われていたよ。
だから僕は近よりもしなかった。
愛犬がいなくなると凹むだろうからね」
犬隠し。
その谷地はそう呼ばれていたそうだ。
何が犬を獲っていたのかは、今では誰もわからない。
次の記事:
『深夜徘徊が趣味だった』
前の記事:
『お祓い』1/3 『石』