∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part48∧∧
『ツチノコ?』
322 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/12/23(水) 19:29:19 ID:NZgl00GE0
知り合いの話。
彼の祖父はかつて猟師をしていたという。
遊びに行った折に、色々と興味深い話を聞かせてくれた。
「ツチノコ? あぁ見たことあるよ。
いやいや違う、世間様がいうツチノコかどうか知らんが、
そういうビール瓶みたいな形の、変な生き物を見たことがあるってことだ。
ちょっと平べったかったが。
もっともありゃ蛇なんかじゃないけどな。
目鼻口なんかどこにも無かった」
「強いて一番近い物を挙げンなら、蛭だな。
黄色のヌルヌルしたでかいのが、樹の上から下通る奴に飛び掛かってくるんだ。
山刀で無理矢理引っぺがすんだけど、これがまた簡単には死なないみたいでサ。
頭とか切り落としても、そっから新しいのが生えてくる。
その場ですぐに生え代わる訳じゃないが、色が違っとるんで一目でわかる」
「これがよォ、変な切り方してっと、頭が二股に分かれて二つ生えてきたりしてた。
酷いのになると、頭だけじゃなく尻の方まで、何股にも分かれた気持ち悪いのがいた。
つっても、一体どっちが頭でどっちが尻かなんて、誰も本当のところはわかりゃあせなんだが。
出る山は決まってたけど、あまり出会しはせんかった。
ここ十数年は出たって話も新しくは聞かんし、もういないのかもしれねえナ」
『ムスビ』
323 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/12/23(水) 19:30:36 ID:NZgl00GE0
友人の話。
バイクで一人旅をしている途中、ある峠道でビバークすることにした。
ぐっすり眠っていた真夜中、不躾な邪魔者に目を覚まされた。
何かが彼女の顔を、暖かく濡れた舌でベロベロ舐め回したのだ。
不快な感触に飛び起きたが、自分以外の姿は何も見えない。
だのに、何かが彼女をしつこく舐め回し続ける。
大慌てで寝袋から抜けだし、手足を振り回して奇声を上げる内、
見えない何かはガードレールを乗り越える音だけを残し、山奥に去って行ったという。
大学のサークル室で青筋を立てながら報告する彼女に、先輩が地図を持ち出した。
「それ、ここいら辺の山じゃないか・・・あぁやっぱり。
そこの山々って、昔はムスビ山って言われてたそうだよ。
ムスビってのは“産び”と書くらしい。
山の神様に舐められた女性は、子宝を沢山授かるという有り難い所だって」
「子宝ねぇ」まだ現役の学生だった彼女は、そう言って顔を顰めていた。
ちなみに彼女、卒業してからこれまでずっと独身を守り通している。
だものだからムスビ様の神通力は、今のところ確認できていない。
『不気味な夢』
324 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/12/23(水) 19:32:09 ID:NZgl00GE0
友人の話。
幼い頃、不気味な夢を見たのだという。
いつも通り友だちと遊んでいると、遊び場の裏手の山から女が下りてきた。
そして友だちの内二人の手を掴むと、そのまま山へ連れ去ってしまう。
何故か皆逆らわず、黙って静かにそれを見送った。
しばらくすると、シャツを血で染めた友が一人だけ帰ってきた。
耳が片方千切り取られて、そこから流れた血がシャツを濡らしていた。
・・・そこで目が覚めた、そう彼はいう。
数日後、その裏山が一部崩落し、遊んでいた子供たちが巻き込まれた。
運悪く土砂に埋もれたのは、彼が夢で見た二人だったらしい。
大人たちに救助されたものの、一人は残念ながら亡くなってしまう。
夢の中で、山から帰って来なかった方の友人だった。
もう一人は命は取り留めたが、片側の耳が聞こえなくなってしまった。
このことがあってから、しばらくは夢を見るのが怖かったそうだ。
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