∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part46∧∧
『水筒を空にしてはいけない山』
738 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/09/02(水) 20:41:06 ID:ON983g1M0
山仲間の話。
水筒を空にしてはいけない山があるのだという。
そこにはカサフカシと呼ばれる物の怪がいて、空の水入れを見つけると、その中身を濁った泥水で満たしてしまうからだという。
水が少しでも残ってさえいれば、カサフカシは何も悪さをしないのだそうだ。
彼はそこに登っている時、うっかりと水筒を空にしてしまった。
しかしいつまで経っても水筒は空のまま、一向に満たされる様子はない。
ま、単なる言い伝えだしな。
そのまま無事に山を下りたのだが、家に帰ると、果たして水筒が重くなっていた。
一体いつの間に?
不思議に思いながら中身を確認すると、嫌な臭いのする泥水で一杯にされている。
久しぶりに人が来たんで、カサフカシも頑張っちゃったのかな。
そんなことを考えた。
しばらく前に再びその山に登ったらしいが、その時はワザと水筒を空にしてみた。
しかし水筒に異変はなく、結局家に着いても空のままだった。
カサフカシ、もう居ないのかな。
少し寂しくそんなことを考えたという。
『人を嫌う沼』
739 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/09/02(水) 20:42:08 ID:ON983g1M0
同僚の話。
実家が山奥ということもあり、幼い頃はよく野山を駆け回っていたそうだ。
その時分、裏山で人を嫌う沼を見たと彼は言う。
山道を駆けていると昨日まで何もなかった場所に、小さな黒い沼が現れる。
「いつ水が湧いたんだ?」と不思議に思って近よると、水面にザッと波紋が広がり、
あっという間に水が引いて干上がってしまう。
沼があった所には、微かに湿った地面が残されているだけ。
そんなことを何度か体験したという。
「思うにあれは沼じゃなくて、沼に似た何かだな」したり顔で彼はそう言う。
しかしその正体については、まったく心当たりがないそうだ。
『小動物のものと思われる頭骨』
740 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/09/02(水) 20:43:08 ID:ON983g1M0
友人の話。
山中の沼へバス釣りに出かけた時のこと。
竿を振ってしばらくするとアタリがあった。
釣り上がってきたのは、何かの小動物のものと思われる頭骨だった。
肉は綺麗に失くなっていて、いやに色が白かった。
骨を外し遠くへ投げ捨て、再度竿を振る。
しかし次ぎもまた、吊り上げたのは先程と同じような骨だった。
そんなことを数度繰り返し、妙な考えが浮かんできた。
「よく見てなかったから区別付いてなかったけど・・・
まさかこれ、ずっと同じ骨が釣れてるんじゃないだろうな」
その次もやはり骨だった。
今度は土手に穴を掘り、骨をその中に埋めたのだという。
手向けの心算で、近くの野花を少し捧げた。
その後は普通にバスが釣れ、骨の類が釣れることはなかったそうだ。
「一度骨釣りしちゃうと、懐かれるっていうか頼られるのかもな。
今はそんな物を釣り上げたら、きちんと埋めるようにしているよ」
彼はそう言うと軽く笑った。
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