∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part46∧∧
『資材倉庫』
210 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/08/17(月) 20:39:42 ID:LX3svn7S0
仕事仲間の話。
彼の勤めている会社の資材倉庫は、奥まった山中にある。
一日の終わりにチェーンを掛けるのが彼の日課だ。
その夜も施錠するために、夜遅く山奥へ車を走らせた。
倉庫の前に着き、真っ暗闇の中、ヘッドライトを頼りに車を降りる。
いきなり突んのめった。
足首が何かに引っ掛かったのだ。
何とか転倒は堪えると足元へ目を向けた。
今降りたばかりの車体、その下に白い物がスルリと吸い込まれていくところだった。
どう見ても人の腕だった。
慌てて車体と地面の間を覗き込んだが、そこには誰もいなかった。
チェーンと鍵の支度をする間、ひどく心細かったという。
次の日早速、センサーで自動点灯するライトを倉庫に設置した。
「明かりが無くて暗いから、変なモノが出るようになるんだ」というのが彼の言だ。
その甲斐あってか、その後はおかしなモノは現れていないそうだ。
『修験者』
211 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/08/17(月) 20:41:40 ID:LX3svn7S0
山仲間の話。
仲間内で修験者の話をしていると、彼が割って入ってきた。
「○○山の奥には今でも修験者がいるよ。
ホント、ホントだってば。
小さな頃から何度も見てるんだ。
あそこの森を歩いていると、ヤーッ!て掛け声が聞こえてきて、
すぐ横手の樹の上をザァッと、飛ぶように走り抜けていく人影があるんだよ。
走りすぎた後からハハハーッ!って笑い声が聞こえてくるんだ。
とても人が乗れないような細い木の枝だって、問題なく走り渡っちゃうんだぜ。
マジ凄いよな、修験者」
何となく「それ修験者じゃないんじゃないの?」と思ったが、意見はせずにおいた。
後で確認したところ、居合わせた他の皆もそう考えていたのだという。
ちなみに彼によると、つい最近も樹の上を走る修験者?の影を見掛けているそうだ。
『ゲートボール場』
212 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2009/08/17(月) 20:42:56 ID:LX3svn7S0
同業者の話。
道路工事をしていた時のこと。
土場として借りていた空き地のすぐ横に、小さなゲートボール場があった。
休日には老人たちで賑わうらしいが、平日は誰もおらず静かなものだった。
そんなある日の夕暮れ、土場にいると隣からボールを打つ音が聞こえてくる。
目をやったが、競技場には誰の姿も見えない。
ただ仕舞い忘れたボールが一つだけ、コロコロと転がっていた。
作業に戻ろうとすると、再びカンッと叩く音がして、ボールが独りでに転がった。
出来るだけそちらを見ないようにして、土場を後にしたそうだ。
後日、そこの老人会でその話をしてみた。
「知ってるよ。ワザとね、球を一つだけ出しっ放しにしてるんだ」
にこやかにそう言われた。
あそこで楽しんでいるのは、老人だけじゃないのかもしれない。
そんなことを考えたという。
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