∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part46∧∧
44 :本当にあった怖い名無し:2009/08/11(火) 22:55:12 ID:OTboEoEd0
高校の時なんだけど、長野県のO町にある施設に毎年合宿に行ってたんだ。
その施設は高校の上にある大学が持ってるセミナーハウスで、O町の山と平野の際にあった。
近くの民家までは結構距離があって、まさに田舎ってカンジ。
俺らは夏と春に合宿して、缶詰で勉強をするようなカンジだった。
とは言え遊び盛りの男子高生。黙って勉強だけをしている訳がない。
引率の先生が寝る夜になると大いに遊ぶ、騒ぐ。
トランプ、卓球、枕投げ、テニス、バスケ・・・
しかし、なにせ4泊とか5泊とかするもんだから、そのうち飽きちゃうんだ。
だから、友達の提案でちょっとした怖い遊びをすることにしたんだ。
45 :本当にあった怖い名無し:2009/08/11(火) 22:55:51 ID:OTboEoEd0
その遊びというのが、
部屋を真っ暗にして、四隅に人を立たせて、
壁伝いに移動して、次の人の肩を叩くというものだった。
当然このゲームは一周したら止まっちゃう。
だから、俺らは五人でこのゲームをすることにした。
四隅にそれぞれ人が待機して、移動中の人間が1人居る。
これなら延々と回れるハズだ。
④→⑤→→→①
↑ ↓
↑ ↓
↑ ↓
③←←←←←②
俺らはこのゲームを、セミナーハウスの外れにある広間でやることにした。
だって、寝起きする部屋は物がいっぱい転がってるし、
狭い広間の方はあまり使われていないカンジだし、鬱蒼とした山が窓のむこうに広がっていたし、
電気を消せば本当に真っ暗になったもんだから、何かホラーな雰囲気が出ていいじゃーん的なノリだった。
メンツは、俺、S、A、B、Cとしとこうか。
午前1時を過ぎた頃、真っ暗な広間で、ゲームが始まった。
俺は一番最初に動く人だったから、隣には最後に動く役のSが控えてた。
「んじゃ始めるぜー」と言い、壁伝いに次の角まで行き、その角にいるAの背中を軽く叩いた。
AはBの背中を、BはCの背中を、CはSの背中を、そしてSは俺の背中を叩く。
46 :本当にあった怖い名無し:2009/08/11(火) 22:58:04 ID:OTboEoEd0
聞こえてくるのは足音と布ぎれの音だけ。
みんながそれぞれ回っていき、しばらくしてSが俺の背中を叩く。
そしてまた俺はAの背中を叩きに行く・・・
しかし、飽きる。
始めのころは暗くて怖いというだけで面白かったんだけど、3周もするころには俺はすっかり飽きていた。
飽きてやる気が無くなってきた俺は段々ぼーっとしてきて、単なる作業の繰り返しになってきた。
どうせSの野郎がそのうち飽きたとか言って騒ぎ出して、こんなつまらん遊びも止めになるんだろうなぁ。
そんなことをふわふわ考えていたら、いきなり声が聞こえてきた。
「あれ、なんで○○(俺のこと)がいねーんだよ」
Sだった。
そこでいったんみんなが止まり、居場所の確認をした。
→→→→→俺
S ↓
↑ ↓
↑ ↓
C←←B←←A
俺が次の角まで行っちゃってるのはおかしいというのがSの言い分であった。
とは言え、俺は確かに背中を叩かれてスタートしたし、勝手に半周した覚えもない。
ついさっきAの背中を叩いて、そのAはBの背中を叩いて、Bだって移動中だ。
ルールに則って動いていたはずだ、、、
47 :本当にあった怖い名無し:2009/08/11(火) 22:59:52 ID:OTboEoEd0
何かの間違いだと言うことで、仕切り直して、ゲームを再開した。
さっきと同じ順序でゲームを再開したので、相変わらず俺の背中を叩くのはSだったし、俺が叩く背中はAだった。
さっきみたいな言いがかりを付けられるのはゴメンだと思い、俺はみんなが動く足音を耳で追うことにした。
俺が動く、Aが動く、Bが動く、Cが動く、Sが動く
俺がAに近付く、Aの背中を叩く、Aが遠のく、Bが動く、Cが動く、Sが近付く、背中を叩かれる
俺がAに近付く、Aの背中を叩く、Aが遠のく、Bが動く、Cが動く、Sが近付く、背中を叩かれる
この状態がまた5分くらい続いただろうか。
いまCが動いてるなぁと思っていたら、またSが騒ぐ。
「やっぱり○○(俺のこと)がいねーじゃねぇか」と。
◆俺の中の認識
俺→→→→→A
↑ ↓
↑ ↓
↑ ↓
S←C←←←B
◆実際
俺→→→→→A
↑ ↓
↑ B
↑ ↓
S←←←←C
48 :本当にあった怖い名無し:2009/08/11(火) 23:00:20 ID:OTboEoEd0
そっからが大変だった。
耳をそばだてていたのは俺だけじゃなくて、AもBもCも、そしてSもだった。
誰もが「移動中の人間は1人だけ」「みんな順序を守っている」ことを認識しているのにもかかわらず、
蓋を開けてみれば「移動中の人間は2人いる」という状況だったのだ。
ゲームが中断した瞬間に、誰が移動中だと考えていたのかをそれぞれ訊いてみた。
俺はCが移動中だと思ってた
AはBが移動中だと思ってた
BはBが移動中だと思ってた
CはSが移動中だと思ってた
SはSが移動中だと思ってた
俺にしろ他の奴にしろ、背中を叩かれる前に勝手に動いて次の人の背中を叩けば同じことは起きる。
でもそれでは、誰かがルールを破った瞬間に「移動中の人間は2人」ってなるわけで、
耳をそばだてていればそれくらいのことには気付く。
第一、移動中の人間が誰なのかが人によって違うのはなぜだ・・・?
49 :本当にあった怖い名無し:2009/08/11(火) 23:02:07 ID:OTboEoEd0
考えるのは止めた。
考えて答えが出る問題と出ない問題が世の中にはあるけれど、これは答えが出ない類のものだ、と。
むしろ、答えが何なのか知りたくない類のものだ、と。
誰とも無しにそう思った。
次の日の朝、セミナーハウスの管理をしているおじさんにそれとなく訊いてみた。
ここらで何かホラーとかオカルトとか幽霊とか、そういう類の話はあったりしないか?
あの古ぼけた広間で変な話を聞いたりしないか?
別に何もないとのことだった。
幽霊も妖怪も不思議な話も何も聞かないと。
そりゃそうだろうよ、そんなオカルトなんか現実にあってたまるかってんだ。
その時このゲームをした奴らとは今でも仲が良くて、たまに会って遊んだりするんだけど、
この時の話だけは何となくタブーになっちゃってる。
ただそれだけの話です、、、、
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