∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part45∧∧
『山中の湖』
382 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/07/27(月) 20:23:09 ID:OOBbV2Yp0
友人の話。
釣り仲間に誘われて、夜釣りに出かけたのだという。
山中の湖にゴムボートを浮かべて糸を垂れていると、パシャパシャと水音がした。
湖の中程からこちらに向かって近づいてくる。
魚でも跳ねてるのかな、などと考えているうちにアタリがきた。
夢中で奮闘している彼のすぐ横手を、パシャッと水飛沫が通り過ぎる。
真っ黒い二本足の影が、水の上を歩いて渡って行った。
どう見ても人のそれだった。
今し方釣り上げた魚をリリースして、即帰途についたという。
『ヤマガロ』
383 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/07/27(月) 20:24:02 ID:OOBbV2Yp0
昔馴染の話。
山麓にある実家へ帰っていた時のことだ。
縁側に寝転がって映画雑誌を眺めていたところ、祖母がやって来た。
古い映画特集のページを開いていたのだが、覗き込んだ祖母がこんなことを言う。
「あぁコレ知ってるよ。ヤマガロって呼ばれてたの。
私がまだ小さな頃は、この辺りにもちょくちょく出ていたものよ。
身体が大きい癖に根が臆病みたいでね、逃げ出すのは決まってあっち側だったわ。
あ、でももう少し毛深かったし、首にもそんな釘なんて無かったかしら」
祖母が指差したのは白黒の、フランケンシュタインのスチール写真だった。
「そう言えば最近見ないねぇ。もう山の奥方で死んじゃったのかねぇ」
それだけ言うと、祖母はサッサと離れていった。
『山鳥を撃った』
385 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/07/27(月) 20:24:53 ID:OOBbV2Yp0
知り合いの話。
彼の祖父はかつて猟師をしていたという。
遊びに行った折に、色々と興味深い話を聞かせてくれた。
「知り合いの猟師が、大きな山鳥を撃ったんだと。
梢から飛び立ったところを、こうパン!ってな。
首尾よく命中、ホクホクしながら落っこちた獲物に駆けよったんだが・・・」
「そこでおっちんで(死んで)いたのは、狸が一匹だけだったんだとサ。
どこにも鳥なんか落ちてねえ。
よく見りゃ、確かに狸の身体には真新しい銃創がある。
どんだけ考えても腑に落ちなかったが、まぁ肉が捕れたんで良しとするかってんで、それを持って帰ったんだと」
「まぁ山の深い奥底ってのは、えてして変なことが起こるモンよ」
そう言って祖父さんは頭を振った。
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