∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part44∧∧
878 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/07/14(火) 19:07:58 ID:v1Jk0pgk0
友人の話。
夜中に一人、家へと続く山道を歩いていた。
その時、彼の左腕には包帯が巻かれていた。
数日前に出張先で火傷を負ったのだ。
気分は冴えなかったが、それは必ずしも怪我の所為だけではなかった。
「その夜は、道の雰囲気自体が奇妙だったんです」そう彼は言う。
何かに見つめられているような、後を付けられているような、そんな気配があった。
途中何度も足を止め振り返ってみたが、辺りには何も動く物はない。
それなのに、いざ歩き始めると、背後の此処彼処で怪しい気配が湧く。
気持ち悪く思いながら、足早に家へと急いだ。
無事に家へ辿り着いた時は、心底ホッとしたそうだ。
部屋着に着替えてから、包帯を替えようと古い布を解くと、激痛が走った。
痛っ!・・・おかしいな、治りかけて痛みも引いていたのに・・・。
傷口を確認してギョッとした。
火傷で痛んでいた腕の皮膚が、剥かれたように綺麗に失くなっている。
ピンク色の肉が、薄く汁を吹いていた。
879 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/07/14(火) 19:08:55 ID:v1Jk0pgk0
不思議なことに、かなりの範囲で皮膚が剥けていたにも拘わらず、傷口の治りは非常に早かったという。
診て貰った医者が不思議がるので、山道で感じた気配の話をしてみた。
「・・・という訳で、あの夜僕の後を付けてきた何かに、この皮を剥かれたような気がしてならないんですよ。
考えると有り得ない話ですけど」
医者はしばらく考え込んだ後、こう言った。
「恐らく狐でしょう。
ここいらに棲んでいる輩は、人皮を焼いたのが大好物だと昔から聞ききますし。
治りが早いのは、狐なりに気を遣ってくれたのかも」
「何と! 僕はあの夜、狐に化かされていたのですか!?」
思わず唖然としたそうだ。
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