∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part44∧∧
『天井転げ』
689 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/07/08(水) 20:41:36 ID:DeNcy9mH0
知り合いの話。
彼の実家の山村ではその昔、奇妙な怪が出ていたらしい。
夜寝ていると、天井裏からゴロゴロゴロという何かが転がる音がする。
何だろうと覗いてみても、蜘蛛の巣以外は何も見えない。
天井転げ、そう呼ばれていたのだという。
ある時、若い衆が正体を見てやろうと、点検口の真下で待ち構えたことがあった。
ゴロっと聞こえるや否や、蓋を跳ね上げ屋根裏を照らす。
懐中電灯の明かりから逃れるように、隅の暗がりへ転がっていく物が見えた。
歯をくいしばった、ざんばら髪の生首だったという。
若い衆はその夜以降しばらく、高熱を発して寝込んでしまった。
それからは天井転げを見てやろうという者は現れなくなった。
そしていつの間にやら、とんと出なくなってしまったのだそうだ。
『ヘビウチ』
690 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/07/08(水) 20:43:00 ID:DeNcy9mH0
山仲間の話。
勝手知ったる地元の山を歩いていると、腐臭が漂ってきた。
この先で動物でも死んでいるのかな。そんなことを考えながら足を進める。
やがて行く手に現れたのは、蛇の大群だった。
どれもこれも、白い腹を見せたり、嫌な角度に折れ曲がったりしている。
蝿が山のように集っていた。
確かめるまでもなく、皆死んでいた。
そこで引き返し別のルートを辿ることにしたという。
「聞いた話じゃ、この山ってヘビウチっていう風が吹くらしいんだ。
これに当たると、蛇の類いはイチコロで死んじゃうんだとさ。
何であんなに集まっていたのかは知らないけど、蛇とは言え可哀想なモンだ」
彼は淡々とそう言っていた。
『ぴょんぴょん』
691 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2009/07/08(水) 20:44:53 ID:DeNcy9mH0
遠縁者の話。
家族で山奥の温泉に宿泊した時のこと。
そろそろ寝ようかという頃合に、子供が窓にベッタリと張り付くようにして外を見始めた。
そして興奮したような顔で振り向き、「お外にぴょんぴょんがいるよ!」と叫ぶ。
「はいはい、ぴょんぴょんがいて良かったねー」と適当に合わせながら子の側へ行き、
一緒に窓の外を眺めた。
何かと目が合った。
すぐ前の暗闇に、光る目を持つ何かがいた。
鈍く緑色に光る一つ目の。
次の瞬間、ザァッと木擦れの音がして、何かが頭上の月光の中に飛び出した。
そのままぴょんぴょんと、木々を撓ませながらそいつは去っていった。
「こっちに来た時もね、ああやってぴょんぴょんと跳ねて来たんだよ!」
子供は良い物を見たというような表情で、そう教えてくれたという。
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