∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part44∧∧
『釜トンネル』
603 :Lightning Oiseaux 9 ◆/7BXYOpSKI:2009/07/04(土) 23:45:45 ID:C7bQKuYt0
親父から聞いた話。
親父は若い頃に山をやっており、冬に上高地に行った。
行程の関係で釜トンネル内で一泊したらしい。
トンネル内にテントを張り、食事を済ますとみんなさっさと寝てしまった。
どれくらいした頃だろうか、親父は足音で目を覚ました。
ざくざくと表面の凍った雪を踏みしだくような足音だ。
いくら冬でもトンネル内にまで雪は積もっていない。
しかも明かりの全くない泳ぐような闇の中で、テントの間を縫うように歩いている。
親父は「これが先輩達から聞いた遭難者の幽霊か」と思ったそうである。
同じテントの者が目を覚ます気配があったが、誰も動かない。
そうこうしているうち、荒い息づかいまで聞こえてきた。
それはいかにも疲労困憊し、寒そうであった。
親父は哀れに思い、持っていたハクキンカイロ(ベンゼンを使う旧型カイロ)をそっとテントの外に出した。
効果があったのか、足音はだんだん小さくなり消えてしまった。
翌朝カイロは置いた場所にあったらしいが、同じテントの人が足音が小さくなる時「ありがとう」と言う声を聞いたとか。
親父には聞こえなかったらしいが。
『姨捨』
672 :Lightning Oiseaux 9 ◆/7BXYOpSKI:2009/07/07(火) 14:48:01 ID:LHvDIkhz0
郷土史家から聞いた話。
長野県の東信地域に姨捨伝承がある。
楢山節考のモデルになった姨捨山伝承ではなく、全く別の口減らしの話。
明治時代の道路拡張で、姨捨遺跡が発見された。
深山の特定域に置き去りされるわけではなく、村の神社裏ともいえる裏山的地域で発見された。
遺体は土中に立つか座った状態で発見された。
他の姨捨遺跡では見られない珍しい状態であった。
最初は墳墓跡かと近郊の史家が調査したところ、姨捨の跡と判明した。
それも特殊な姨捨習慣が聞き取り調査によりわかってきた。
生産能力がなくなった老人を首だけ出して土中に埋める。
そして数日間は食事や水などの世話をしていたらしい。
世話は期限があったのか、死ぬまでかは分からないが、とにかくそうやって死んでいった。
そして、その周囲には人魂が時折飛んだとの結びであった。
この話を聞いたときはなんともいえない気分となった。
家族が弱り死んでいく状況を見なければならない。
それも異常な死に方だ。
それとも当時は普通のこととして当たり前に受け入れられていたのか。
例外をだせば村の存亡にも関わることだけに厳しい約定もあっただろう。
なんとも悲しい歴史である。
『檜の間伐』
734 :Lightning Oiseaux 9 ◆/7BXYOpSKI:2009/07/10(金) 23:42:07 ID:OtujuHCy0
友人から聞いた話。
友人は祖父の代からの山を持っている。
そこに檜と唐松を植えてあり、たまに枝打ちや間伐に行く。
その日は檜の間伐に行っており、チェンソーで木を切り倒していた。
何本目かを切り倒す瞬間、「逃げろっ!」っていう声が頭の中で響いた。
木が予定外の方向に倒れそうで、それを見ていた誰かが声をかけてくれたのかと思った。
木が倒れる方向とは逆に反射的に逃げたが、予定していた通りに木は倒れていく。
木が倒れて一呼吸するかしないかのうちに、倒れた木の間から何匹ものスズメバチが飛び出した。
土の中に巣を作る大スズメバチの巣穴の上に木を倒してしまったらしい。
友人は大あわてで近くの車に逃げ込んだ。
ハチは恐怖を覚えるくらい大量に飛び出してきており、もの凄い羽音を立てている。
声をかけたと思われる人はあ近くにはいなかった。
友人は、「声が聞こええなければ、まず刺されまくっていた」と話していた。
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